文: 石角友香 編:Kou Ishimaru
“ノスタルジー”をテーマに自家製J-POPを歌うバンドを自称するボトルメールが、約2年半ぶりとなる新曲「運命」を新しいボーカリストを迎えた新体制でリリースする。といっても、そもそもどんなバンドなのか初めましてのリスナーも多いだろう。筆者もそうだ。活動歴を振り返ると、2019年に前身バンドであるTeepee’sでの活動を経て、なおみちゃん(Vo.)とコンペー(Gt.)のふたりで始動。2020年にすべての楽器演奏と録音をふたりで手掛けた1st EP『群像』をリリース。2023年1月にはドラムにミヤシタコーヘイを迎えたトリオとなり、1stミニアルバム『拝啓』をリリースしている。本作の充実ぶりは素晴らしく、ギターオリエンテッドなバンドという一面だけでなく、人間の深い部分の心情と暮らしや街の情景が意味を持って迫るその音楽は、スピッツやLaura day romanceに通じるストイシズムと、いい意味での毒も感じる。歌の聴きやすさが軸にありつつ、J-POP定石の音作りよりは海外のインディポップの手触りに近い音像も特徴だ。『拝啓』のリリースに伴いコンペーがnoteに記したセルフライナー的な文章に、彼の思索の深さや幅広い影響源を読み解くこともできる。コロナ禍真っ最中だったあの頃の現実と文学を紐づける発想や、実際の楽曲への落とし込み方が理解できるサブテキストでもある。
東京と茨城を拠点に、生活ありきでいい曲を届け続けてくれる音楽至上主義なバンドというイメージがあるボトルメール。トリオでの活動が続くのかと思いきや、つい先日なおみちゃんの脱退が発表され、新しいボーカルにまい(Vo. / Gt.)、サポートにすぎ(Ba.)を加えた新体制でリスタートすることに。新体制メンバーでの楽曲第一弾がここで紹介する「運命」だ。なかなか壮大なタイトルだが、むしろ聴くのが楽しみになる。
イントロのギターの音色からして、すでにノスタルジーと甘酸っぱさがあふれる。たとえばスピッツの「ロビンソン」のイントロが拡張するような季節の匂いだ。主人公が夏バテしているうちに“君”はどこかに行ってしまう。残された自分は何かまだ諦められないものがあるのだろう。《遠回りの運命 泳いで》というフレーズに、静かに強い受容を感じる。新しいボーカルのまいは少し舌足らずで甘い声だが、クセのないボーカルで性差を超えたストーリーテラーを引き受けている印象だ。それはこれまでのボトルメールにも通じていて、シンガーソングライターではなく、バンドのボーカリストとしての佇まい。ほんの少しひりつく思い出を抱えながら、ここでまた生きていく。そんな彼らの音楽が帰ってきた。10月、12月にも新曲をリリース予定とのこと。いまのボトルメールの手作りの音楽に期待したい。
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