帰る場所としてのバンド。PK shampooが歌う死生観

early Reflection
ポニーキャニオンとDIGLE MAGAZINEが新世代アーティストを発掘・サポートするプロジェクト『early Reflection』。7組目のアーティスト「PK shampoo」が登場。

ドクンと心臓の深いところに落ちていく感覚。PK shampooの嘘のない歌には、聴き手が言葉にできずに溜め込んでいる感情を、揺さぶり呼び起こすような力があるように思う。生活感漂う詩的な言葉と、哀愁を感じる抒情的なメロディ、そして全てを飲み込んでいくけたたましいノイズ…清らかなものと荒っぽいものが同居する彼らの音楽には、詞曲を手がけるヤマトパンクス(Vo&G)の祈りと虚無感が渦になっている。ロクデナシな自分の性を嫌という程思い知りながら、それでも大切なものだけは失わないという意地を感じるのだ。

前作から1年3ヶ月ぶりとなるシングル、『市營葬儀』がリリースされた。ヤマトパンクスが死生観に向き合って書いたというリリックは、抽象的なのにどこか生々しく、<声にならない>という叫びからは、彼が抱える曖昧でアンビバレンスな想いをが押し寄せてくる。彼自身の“区切りのような曲”と語っていたが、間違いなくPK shampooとしても、新たな代表曲として育っていくであろう楽曲だ。ヤマトパンクスにZOOMを繋ぎ、歌の背景にあるルーツと新曲に込めたもの、そして理想のキャリアについて語ってもらった。

音楽以上に影響を受けカルチャー

ーこれまでどんな音楽にのめり込んできましたか?

あんまりないんですよね。本格的にバンドサウンドを聴くようになったのも大学に入ってからだったし、今でもそんなに熱心に聴くようなバンドは少ないです。ベタな話ですけど、親の車で聴いてたマッキー(槇原敬之)が好きだったり、あとは椎名林檎さんとかaikoさん、他にはアニメやアイドルの曲を聴いていました。

ーでは、漫画やゲーム、小説や映画など、音楽以外の文化で傾倒したものはありますか。

思春期の頃は『ファイナルファンタジーVII』とか、『新世紀エヴァンゲリオン』とか、『涼宮ハルヒの憂鬱』みたいな、これまたベタに中二臭い作品が好きなキモオタ少年という感じだったので、音楽よりもそういったカルチャーの影響が大きいかもしれないです。今はもうそういったコンテンツに対する興味も薄れてきて、キモオタというよりは単にキモいだけの人になってしまいましたが…。

ー今挙げた作品がご自身の琴線に触れたのは何故だと思います?

まあ中二病だったていうのもありますけど、僕はあんまり人と何かを作り上げることが得意じゃなかったんですよね。野球をやったり、塾にも通ったり、習い事は一通りやってきたんですけど、一年以上続いたものはひとつもなくて。協調性のない奴でしたし、家でひとりで何かを考えている方が好きだったんだと思います。

ーなるほど。

自分の中の世界と対峙するような作品が好きですね。僕は転校もありましたし、家庭環境も複雑で、ひとりでいることが多い子供だったので、“自分とは何か”みたいなテーマがあるものに琴線が触れたのかもしれないです。

ー今話されたことは、うっすらとヤマトさん楽曲の詞にも通ずるものあるような気がします。

そうですね。歌詞には<さよなら>とかって言葉がよく出てきますし、これは音像やコード進行でも意識していることなんですけど、離別や喪失を歌うことが多いんですよね。僕が小さい時に親が離婚したのがトラウマになっていて、女の子でも友達でも、“じゃあね!”っていうのが苦手です。自分が帰るのも、人が帰っちゃうのも嫌なので、とにかく人を帰さずにみんなで意識がなくなるまで飲んじゃったりするんですけど、大学時代なんかは特にずっとその連続でした。歌詞の中にもそういう感覚が出ている気はしますし、接収と喪失というのは自分の中では凄く重大なテーマですね。

ーノイジーな音に対して、歌メロが綺麗なところがコントラストになっていて、そこがPK shampooの魅力でもあると思います。

僕は歌謡曲やアイドル、アニメソングばかり聴いてきたので、アウトプットとして歌メロが薄弱なものはあんまり出てこないんですよね。だから自分の属性の問題だと思いますが、メロディに関しては凄く自然にポップなものになっていると思います。で、ノイズに関して言えば、僕はギターの歴も浅いので、譜面上の音の構成とかは得意でも、実際の演奏とか音作りのことになると周りの上手い人に比べると本当に全然何もわかっていないんですよ。身も蓋もない話ですけど、そういう時ギターって、なんかノイズ出しとけばとりあえず誤魔化せるじゃないですか(笑)。

ーそういうことですか(笑)。

なので、心の底に渦巻く激情を表現している、みたいな高尚な感覚というよりは、単純に楽器を練習していないっていうのが大きいです。まぁ、ノイズ系の演奏って出た音がすべてみたいな価値観があるじゃないですか(笑)。あんなものに成功もミスもないですし。とりあえずどんな音であれ俺が出した音が正解、と胸を張って言える位置に立っておこうかな、っていう感じもあります(笑)。

ーヤマトさんの声質によるところもあるのかもしれませんが、生きることの退屈さや、漠然とした空虚さみたいなものも感じます。

イキってる感じになるんで言い方が難しいんですけど…昔から割となんでもすぐできるようになるタイプだったんですよね。小さい頃は運動もみんなよりできましたし、それこそ習い事や学校の授業でも、周りの進行度の遅さに“なんでこいつらこんな事もわからんねん”って腹立ってバックレちゃうみたいな部分もあって。

それで逆にフラストレーションを溜めることが多かったと。

なんでこれができないの? なんで俺の言ってることがわからないの? っていう、漠然とした、個人や世の中に対するムカつきみたいなものは今でもずっとあります。なんていうか僕、生まれつき不遜というか、めちゃくちゃ偉そうな態度を割と無意識に取っちゃう人なんで、そういう意味では自分のせいなんですけど、周囲の人間に自分を理解されないことの理不尽を感じていて、そういう葛藤はありましたね。ムカつきと、空振り感とが合わさった感覚が自分の中にあって、だからこそ音量をバーンと上げちゃうのかもしれないです。

次ページ:27歳になる年に書いた、死生観を歌った新曲

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この記事を作った人

WRITER

黒田 隆太朗

平成元年生まれ、千葉県出身。ライター/編集。MUSICA編集部→DIGLE編集部。

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福島カイト(Gt) , 西岡ケンタロウ(Ba) , ヤマトパンクス(Vo) , カズキ(Dr)

2018年
3月:大阪/京都を中心に活動開始。
9月:”TOKYO CALLING 2018″に出演。
10月:デモCD「星/京都線」を500枚限定発売。(SOLD OUT)
11月:東京、吉祥寺にてCRYAMYとの2マンライブを行う。(SOLD OUT)
5曲入りミニアルバム「Kanzakigawa E.P」(SOLD OUT)を発表。

2019年
2月:大阪十三ファンダンゴにて自主企画「BLUE SCREEN」開催。(SOLD OUT)
初夏:7月1日(月)ファーストシングル「Kiseki」リリース
7月:初の東名阪ツアー「海までの道」開催 各公演SOLD OUT
12月:自主企画「BLUE SCREEN Vol.2」を開催

2020年
4月:2nd single「新世界望遠圧縮」をリリース
4月:リリースツアーを2021年に延期
7月:配信限定ミニアルバム「Kanzakigwa EP+2」を急遽リリース

2021年
約1年の延期を経て2月末より2nd singleのリリースツアー「銀河巡礼」を敢行、
チケットの申し込みが10倍になるなど
PK shampoo的緊急事態をふまえて大阪と東京にて追加公演を開催。
大盛況に終わる。
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