「脳科学から見る音楽ビジネスの新領域とは(後半)」吉田岳彦(テクロコ)|Music Cross Talk

Music Cross Talk

文: Asahi 

株式会社TORIHADAの若井映亮とStar Music Entertainment Inc.の中村雄太が送る連載企画。今回は引き続き、株式会社テクロコの吉田岳彦さんのインタビューをお届け。「音楽×ブロックチェーン」や「変わりゆくファンマーケット」について、音楽の進化とそれに伴う権利問題などについて語る。最後は、そんな吉田岳彦さんのオリジナルプレイリストの紹介もあるので、そちらもお見逃しなく。

ブロックチェーンの課題と可能性

インタビュイー画像

若井映亮:

これまではCDを売る時や曲を聞いてもらう時、なんとか棚を抑える必要がありましたが、今グローバルに攻められるプラットフォームが増えてきたことで、どんどん可能性が広がってますよね。
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吉田岳彦:

そういう話しで言うとYouTubeって1つの大きな成功例ですよね。大きなプラットフォームに誰でも自由に動画をのっけるっていう。「ながら聴き」のようにラジオとして使う人もいれば、MVを見るために使っている人もいる。
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中村雄太:

そこにコンテンツIDができたことによって、原盤権や著作権関係もYouTube内できちんと管理できるようになって来ましたからね。アーティストにもきちんと分配するという仕組みも、最近では充実してきていますし。
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吉田岳彦:

でも、まだ十分ではないところがあって、例えばYouTubeとかだと結局広告をクリックしたかどうかが重要視されているのが現状です。音楽が本質的に重要というわけではなく、間接的になってきているように感じる。音楽を正しく評価しているように思えないんです。もっと自由にかつ利益がきちんと分配されるプラットホームが、もっともっと出てくると良いなって思います。
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中村雄太:

それこそブロックチェーンに色々と可能性を感じています。
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若井映亮:

今結構出てきてますしね。ブロックチェーンで管理するプラットフォーム。でも、結局それ以外で聴かれた曲はカバーできないというニッチな現状でもあると思うんですが。
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吉田岳彦:

著作権の絡みでいうと「誰が作ったのか」、「誰が消費したのか」、「二次使用としてその人が、さらに誰に渡して使ったのか」っていうのを、正確に捕捉するシステムがまだ無いですね。ディズニーのような大企業が出資して、そういうモノを作ろうとはしています。ゲッティーイメージズ(ライセンス販売するフォトストックサービス)の動画版みたいな。一方で動画でできるってことは音楽もできることなんです。音楽に電子的なタグとかを仕込んで置いて、再生したらそのタグが反応するっていう。どのIPアドレスで、どの楽曲が、どのタイミングで使われたかっていうのが飛んでいくっていう。そうすることで「売ったはずの人なのか」、「売ってない人なのか」っていう捕捉ができると思うんです。
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若井映亮:

なるほど。すごいですね。現状のSpotifyとかの課題って、個人の利用はOKでも、店舗で流すのはNGなはずなのに、実際には公共の場所でも流されてしまっている。どういうシステムがあればそのあたりが整理されていくんですかね。
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吉田岳彦:

実際にそういう製品があるわけじゃないのですが、人の耳には聞こえない音波を音楽に突っ込んでおくという手があると思います。スマホだけが拾える周波数の音波が流れるようにする。その音波をキャッチするとプッシュ通知してくれるようにするんです。Wi-Fiや4Gを介して、適切なサーバーを返すことによって、意図的に聞いた人のインターネットを使って発火させるっていう仕組みが作れると思うんです。
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若井映亮:

それってめちゃくちゃ面白いですね。ブロックチェーンなど今後のデータ管理のポイントは、オフライン情報にどこまで食い込めるかってことだと思うんです。例えば、一人ひとりが音楽の不正利用を報告できる著作物版のミステリーショッパー的なプラットフォームがあれば、最適な印税分配がされるんじゃないかとか思ってました。なので、その音波を使ったアイディアは目から鱗でした。
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吉田岳彦:

音波を使ったスマホのハッキング技術って4, 5年前に海外では実用的な段階にあるんですよ。既に技術は進んでいて、ここ1〜2年の話しだと大手広告代理店とかでも扱いはじめました。どんどん音波とマーケティングを連携した技術が使われてきている。音波って一般的にそうやって簡単に使っていいんだっけって話もあるんですけどね。生理的に何かあるかもしれないという議論もあるなど、まだ普及はしていないのですが、技術的には存在しているんです。
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若井映亮:

それって既に既存の音楽の中に、何かしらをコントロールするために、聞こえない音波を作為的に入れている可能性もあるということでしょうか?
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吉田岳彦:

単純に、そういう仕組みを作れば、オフラインの音楽でもスマホに反応させることが出来ますよってだけの話です。不正利用の検出以外にも、店舗の滞在時間のテストマーケなどにも活用できると思います。「このマスタリングを聴いてる人はあんま帰らなかった」、「こっちのマスタリング音源を聴いてる人は帰っていった」みたいな部分の検証です。極端な話、海の家のラジオで、「この海の家のビール100円引きですよ」っていう音波を載せたBGMを流してしまうとか。プッシュ通知をして、その通知画面から認証画面に飛ばせる過程でIPアドレスなど取れたり、SNSと連携することでそのあとのマーケティングに繋げることができるんです。
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若井映亮:

それすごい話しですね。音楽が新しいUX、ユーザーインターフェースになる可能性があるということですね。
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中村雄太:

めちゃくちゃすごいな。音楽って色々な事に活用できるから、可能性は無限大ですよね。
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若井映亮:

本当に、吉田さんが音楽やったらすごそうだな。AIを活用した音楽レーベルとか一緒にやりましょうよ(笑)。

次ページ:日本はフィジカルが売れている!? 変わりゆくファンマーケット市場

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Asahi

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吉田岳彦

株式会社テクロコのプロダクトマネージャー。広告領域では営業、プロマネ、データサイエンス、エンジニア。金融領域ではブロックチェーン領域のコンサル、事業開発。HR領域ではデータサイエンス、データサイエンティスト採用など、幅広く活動している。脳・神経科学の科学者から始まり、楽天、サイバーエージェント、電通デジタルなど、様々な大手企業での職歴も。「人間がアクションを起こす動機」というものに付いて脳の仕組みやマーケティング、広告などあらゆる角度で追及し続けている。さらに神経科学領域やセラピスト領域にも造詣が深い。

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