AI支配に抗う情熱の詩。ジョーダン・ラカイが語る希望と、ロンドンシーンの今

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文: 黒田 隆太朗  写:木村篤史 

COTTON CLUBでのライヴのために来日した、ジョーダン・ラカイにインタビュー。6月にリリースし好評を博している『Origin』のことから、ロイル・カーナーやトム・ミッシュとの親交やロンドンで掴んだアイデンティティ、さらにはブレグジット後のシーンについて、じっくりと語ってもらった。

「AIシステムに立ち向かう人間の未来」というテーマで作品を作った時、Steely DanやStevie Wonderといった、肉体的でプリミティヴな魅力を持った音楽にヒントを求めるのは必然的なことだったのだろう。エレクトロの音が象徴的だった前作に対し、本作では開放感のあるソウル、ジャズを展開している。6月にリリースしてから、既に多くの称賛を集めている『Origin』でのJordan Rakeiは情熱的だ。

今のパッショナブルなモードと『Origin』に込めた視点について、Tom MischやLoyle Carnerとの親交や自身のアイデンティティ、 さらには ブレグジット後のシーンについて語ってもらった。曰く、「どちらかが死ぬまでの戦いになる」とのことである。

幼少期の自分と繋がるソウル

ーCOTTON CLUBでのライブを見させていただきました。ラグジュアリーで穏やかな気持ちにれる演奏であり、同時に内なる情熱のようなものも感じました。今はパッションが溢れるようなモードになってるんでしょうか。

そう、今は情熱的になれていて、その理由はソウル・ミュージックやジャズをやれているということにリンクしていると思う。ソウルやジャズは自分の幼少期に繋がるものだから、ステージの上で歌ったり演奏している時に、子供の頃の自分と繋がっているような気持ちになるんだ。

ーその感覚は、これまでの作品やライヴではあまりなかったものですか?

もちろん。前回のアルバム『Wallflower』はどちらかというとエレクトロニックな音楽だったから、新しい音を使って模索していくように作っていて。あのアルバムをステージでやる時には興奮状態で、「楽しい」という気持ちのほうが強かった。でも、変な言い方かもしれないけど、ソウルやジャズは自分のDNAの一部みたいなものだから、これまでとは違う感覚でステージに立てているよ。

ー今回の作品は、 Steely DanやStevie Wonder の音楽からヒントを得て作られたところがあると伺いました。

最近までのアルバムの何枚かは、いろいろな音を試したり、新しいことに挑戦してきたから、今作では自分のルーツに戻りたいと思ったんだ。それで『Origin』を作る時には、自分のオリジン、つまりルーツであるMarvin GayeSteely DanStevie Wonderのようなソウル系の音楽に戻っていった。本当の自分ともう1回繋がりたいって思ったんだよ。

ーつまり、ジョーダンさんのイノセントな部分が出たアルバムだと言えますよね。そして、以前の作品よりもエネルギーを感じる、カラフルな作品になっていると思います。

僕もその通りだと思う。クリエイティヴなプロセスの中では、自分を客観的に見ようとしていなかったから。こういう風に作ろう!という意識ではなく、自分の心に任せて本能的に曲を作っていったからイノセンスな部分を感じるんだろうね。自分でもエキサイティングでエネルギーに溢れている、楽しいアルバムに仕上がっていると思う。

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黒田 隆太朗

平成元年生まれ、千葉県出身。ライター/編集。MUSICA編集部→DIGLE編集部。

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木村篤史

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ロンドンを拠点に活動するオーストラリア出身のマルチ・プレイヤー、ジョーダン・ラカイ。トム・ミッシュを筆頭としたロンドンの最旬ポップ・シーンと、同郷のハイエイタス・カイヨーテらが活躍するネオ・ソウル・シーンとのハイブリッドと形容される独自のサウンドを武器に台頭してきた彼は、ジョルジャ・スミス、トム・ミッシュ、サンファらUKの「今」を体現するトップアーティストらと並んでロイル・カーナーの最新作『Not Waving, But Drowning』にゲスト参加したことでも話題に。賞賛を集めた『Wallflower』以来2年振りとなる新作、『Origin』を2019年6月にリリース。
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