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文: 黒田 隆太朗 写:木村篤史
「AIシステムに立ち向かう人間の未来」というテーマで作品を作った時、Steely DanやStevie Wonderといった、肉体的でプリミティヴな魅力を持った音楽にヒントを求めるのは必然的なことだったのだろう。エレクトロの音が象徴的だった前作に対し、本作では開放感のあるソウル、ジャズを展開している。6月にリリースしてから、既に多くの称賛を集めている『Origin』でのJordan Rakeiは情熱的だ。
今のパッショナブルなモードと『Origin』に込めた視点について、Tom MischやLoyle Carnerとの親交や自身のアイデンティティ、 さらには ブレグジット後のシーンについて語ってもらった。曰く、「どちらかが死ぬまでの戦いになる」とのことである。
ーCOTTON CLUBでのライブを見させていただきました。ラグジュアリーで穏やかな気持ちにれる演奏であり、同時に内なる情熱のようなものも感じました。今はパッションが溢れるようなモードになってるんでしょうか。
そう、今は情熱的になれていて、その理由はソウル・ミュージックやジャズをやれているということにリンクしていると思う。ソウルやジャズは自分の幼少期に繋がるものだから、ステージの上で歌ったり演奏している時に、子供の頃の自分と繋がっているような気持ちになるんだ。
ーその感覚は、これまでの作品やライヴではあまりなかったものですか?
もちろん。前回のアルバム『Wallflower』はどちらかというとエレクトロニックな音楽だったから、新しい音を使って模索していくように作っていて。あのアルバムをステージでやる時には興奮状態で、「楽しい」という気持ちのほうが強かった。でも、変な言い方かもしれないけど、ソウルやジャズは自分のDNAの一部みたいなものだから、これまでとは違う感覚でステージに立てているよ。
ー今回の作品は、 Steely DanやStevie Wonder の音楽からヒントを得て作られたところがあると伺いました。
最近までのアルバムの何枚かは、いろいろな音を試したり、新しいことに挑戦してきたから、今作では自分のルーツに戻りたいと思ったんだ。それで『Origin』を作る時には、自分のオリジン、つまりルーツであるMarvin GayeやSteely Dan、Stevie Wonderのようなソウル系の音楽に戻っていった。本当の自分ともう1回繋がりたいって思ったんだよ。
ーつまり、ジョーダンさんのイノセントな部分が出たアルバムだと言えますよね。そして、以前の作品よりもエネルギーを感じる、カラフルな作品になっていると思います。
僕もその通りだと思う。クリエイティヴなプロセスの中では、自分を客観的に見ようとしていなかったから。こういう風に作ろう!という意識ではなく、自分の心に任せて本能的に曲を作っていったからイノセンスな部分を感じるんだろうね。自分でもエキサイティングでエネルギーに溢れている、楽しいアルバムに仕上がっていると思う。
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