加速し続けるSHO-SENSEI!!、最新EP『SCRAP』を携えたツアーファイナルで目撃したその力強さ

Report

文: 保坂隆純  写:Goku Noguchi  編:riko ito 

若い世代を中心に熱い支持を集めているアーティスト・SHO-SENSEI!!が、2023年12月7日(木)に東京・恵比寿LIQUIDROOMにて<SHO-SENSEI!! LIVE TOUR 『SCRAP』>のファイナル公演を開催。最新EP『SCRAP』収録曲を軸に、全20曲を披露したライブの模様をレポートする。

満員で埋め尽くされたLIQUIDROOMのフロアを眺めて、改めて感慨深くなってしまった。2022年の4月に同じく恵比寿に位置するベニュー・BATICAにてギュウギュウの状態で行われた3rdアルバム『THE BLUES』のリリパからおよそ1年半。その間にも多数の作品を発表し、ワンマン公演や全国ツアーも開催、SHO-SENSEI!!を取り巻く環境は目まぐるしく変わっている。TikTokにアップされたライブ映像は230万回以上再生され、最近では有線放送から彼の楽曲が流れることも珍しくない。

全国9箇所を巡る全国ワンマン・ツアーのファイナル公演となるこの日、会場となったLIQUIDROOMのキャパシティはBATICAのおよそ10倍近い。マーチャンダイズもより充実し、フロアにはSHO-SENSEI!!フーディー、Tシャツ、アームカバーなどを身に纏ったユースの姿が多く目に付く。定刻を少し過ぎた頃、お馴染みの電話のベルの音、そして「ショウ、愛してる」というボイスタグとともにSHO-SENSEI!!が登場。1曲目は4thアルバム『THE TELESCOPE』から「サザン」。切ないギターリフと詰めかけるようなフロウが印象的な同楽曲で、会場をSHO-SENSEI!!の世界観で満たしていく。もちろんオーディエンスも初っ端から大合唱でそれに応えていく。

ライブメンバーはDJに盟友プロデューサー・10pm、ドラマーにAge Factory増子央人が参加。DJセットに始まりバンドセット、弾き語りなども取り入れるなど、試行錯誤した上で辿り着いた現時点での最適解なのだろう。すでに同編成で多くの公演を重ねてきているだけに、それぞれのパフォーマンスは阿吽の呼吸で絡み合っていく。その姿は、まるで3人がひとつの生き物となって大きなグルーヴを生み出していくようでもあった。

相変わらずMCは最小限のSHO-SENSEI!!。曲間にはオーディエンスから「ショウタロウ!」という声が上がり続け、「まだまだ足りない」といったその渇望具合がよく伝わってくる。「shutter」「国道」を挟んで、「次の曲はイントロから……できる? いける?」と言って披露されたのは今年リリースのシングル「道路工事」。フックで加速する展開で会場全体が飛び跳ねる。そしてライブお馴染みの楽曲「LEGO」では会場全体でシンガロングが巻き起こる。

「EP聴いた? 音源だけじゃ伝わりきらないと思ったから全国回ってきて、今日が最後。(ライブも含めた)全部で伝わればいいなって思ってやるから」というMCとともに、ここからは最新EP『SCRAP』を全曲、スキットも含め曲順通りに披露する。全体を通して一つの物語を描くような、コンセプチュアルなEPを文字通りライブで100%伝えたいという気概が感じられた。

「Years&Years」では音源とは異なるファジーなギターが追加され、増子央人によるドラムのフィルでライブ感を演出。「SHO-SENSEI!!じゃなくて、俺の曲。ショウタロウの曲だから」と説明した「エレキ」では小気味良いトラップノリを披露し、《サヨナラだね もうこれでサヨナラだね》とリフレインする女声コーラスがどこか幽玄な世界観を演出する「Pilot」で、この日のピークを迎える。

少々のインターバルを経て、ここからは終盤戦だ。アルバム『THE TELESCOPE』『THE BLUES』の収録曲を中心に楽曲を立て続けに披露していくSHO-SENSEI!!。終わりが近づいていることを察するオーディエンスとともに、ライブの熱量は上がり続ける。「あと4曲しかないから」と言って披露された「望遠鏡」での《君に話したい事がまだあるよ》という一節がどこまでも切実に響く。そして「俺と10pmにとって、第1ステージに立った曲」と説明する「サテライト」、風通しのいいメロディで遠く離れた人を想う「ハナレバ」、お馴染みのアンコール省略スタイルでそのまま「Hundred Thousand」「最終列車」を披露してステージを後にする。

自身のnoteによると、SHO-SENSEI!!は今年4月に喉を壊してしまったという。そこから復活を遂げ、EPの制作、全国ツアーを完走するというハードなスケジュールをこなした。この日のライブでは、そんなタフな人生を音楽とともにサバイブするSHO-SENSEI!!の力強さと、独自のスタイルをより突き詰めたパフォーマンスが強く印象に残った。ヒップホップでもロックでもなく、しかしそのどちらにも根ざしているそのスタイルは、先達がいないオリジナルなもの。道なき道を切り開くSHO-SENSEI!!の今後の歩みにも注目したい。

SET LIST
M1. サザン
M2. shutter
M3. 国道
M4. 道路工事
M5. LEGO
M6. Years&Years
M7. Oil
M8. エレキ
– Lens skit –
M9. Map
M10. ミシン
– Miles Away skit –
M11. Pilot
M12. Diamond
M13. where u at
M14. Orion
M15. 望遠鏡
M16. Thunder
M17. サテライト
M18. ハナレバ
EN1. Hundred Thousand
EN2. 最終列車

RELEASE INFORMATION

SHO-SENSEI!! 『SCRAP』

2023年11月1日リリース
Label:SHO-SENSEI!!

Tracklist
1. Years&Years
2. Oil
3. エレキ
4. Lens skit
5. Map
6. ミシン
7. Miles Away skit
8. Pilot

▼各種ストリーミングURL
https://lnk.to/A6INDG

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SHO-SENSEI!!(ショーセンセイ)

20歳の頃から本格的に音楽活動を開始。2019年からリリースを重ね、Shotaro名義の楽曲「SEN-SEI!! GANG!! GANG!!」をはじめとしたヒット曲を誕生させる。

2022年2月には、本来はクロスオーバーしづらいJ-ROCKとヒップホップという2つのジャンルを巧みに落とし込んだ3rdアルバム『THE BLUES』をリリース。 収録曲「サテライト」は、MV公開後に徐々に人気を集め、TikTokではサビの《夢って叶うのかな》というフレーズが若者に刺さりバイラルヒット。ストリーミングは約7000万回再生、MVもYouTubeにて200万回再生を突破している。

同年10月には、メロディー・ポップス要素が強まったバンドサウンドが特徴的な4thアルバム『THE TELESCOPE』をリリース。前作『THE BLUES』に続いてリリック/サウンド両面で高い評価を得たアルバムとして支持を集めている。

さらに、2023年11月には3rd EP『SCRAP』をリリース。11月4日の札幌公演を皮切りに全国9都市を回るツアー<SHO-SENSEI!! LIVE TOUR 『SCRAP』>を開催し成功を収めた。
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