SHO-SENSEI!!がロックの老舗・新宿LOFTで魅せた成熟と熱狂。初ワンマン・ツアーのファイナル公演をレポート

Report | 2023.08.01 2023.08.01

文：保坂隆純　写：Goku Noguchi　編：riko ito　

若い世代を中心に熱い支持を集めているアーティスト・SHO-SENSEI!!が、2023年7月22日（土）新宿LOFTにて＜SHO-SENSEI!! LIVE TOUR 2023＞のファイナル公演を開催。全22曲を披露し、オーディエンスを熱狂の渦に巻き込んだライブの模様をレポートする。

SHO-SENSEI!! プロフィール

昨年『THE BLUES』『THE TELESCOPE』と2作のアルバムをリリースし、今年に入ってからもシングルを立て続けに発表しているSHO-SENSEI!!が自身初のワンマン・ツアー＜SHO-SENSEI!! LIVE TOUR 2023＞のファイナル公演を東京・新宿LOFTにて開催した。

開演前、会場へと続く階段の行列を眺めていると、そのオーディエンスの多様なスタイルが目につく。Y2Kファッションからオールドスクールなヒップホップ・スタイル、はたまたカジュアルかつ都会的なファッションまで、音楽とファッションは密接な関係性にあるが、SHO-SENSEI!!のライブにおいては、一見しただけではどういったジャンルのイベントなのか判別するのは困難だ。しかし、それこそがSHO-SENSEI!!の独自性を象徴しているように感じられた。

オープン時刻を少し過ぎた頃、会場のSEが鳴り止み、電話のベル音とお馴染みの「ショウ、愛してる」のボイスタグが流れる。満員の会場からは大きな歓声が上がると同時に、黒いレザー・ジャケットとケミカルウォッシュ・デニムを身に纏ったSHO-SENSEI!!が登場。1曲目は印象的なギター・フレーズが牽引する「だから一枚だけ盗んだ」。出だしからシンガロングが巻き起こり、SHO-SENSEI!!を待ち望んでいたオーディエンスの熱量が一気に表出する。

DJには盟友プロデューサー・10pm、そしてドラマーにAge Factoryの増子央人を迎えたシンプルな編成ながら、生ドラムが入ったことによるダイナミズム、そして随所でエフェクトやSEなどを加える10pmのプレイにより、ライブならではのグルーヴを獲得している。以前のワンマンや対バン・ツアーでもみせた同編成でのパフォーマンスから、より一層の成熟ぶりが感じられた。

特に印象的だったのは「サザン」「shutter」のブレイクやドロップでの生ドラムによるアレンジ。また、「インスタライブ観た？　何のやつかわかる？」とMCで伝えてから披露した「道路工事」では、疾走感あふれるフックでも多くのオーディエンスが同じ拍で首を縦に振っていた。ヒップホップとロックのグルーヴの融合を試みるSHO-SENSEI!!独特のノリをオーディエンスも自然と体得しているように感じられた一瞬だ。同曲では最後にオーディエンスを全員座らせ、ラストのフックで一気に爆発させ、ひとつのピークを作り上げた。

また、先述の通りこの日の会場は日本のロック・シーンにおいて数々の伝説の一夜を生み出した老舗ライブハウス、新宿LOFT。それこそSHO-SENSEI!!が多くのインタビューで名前を挙げているTHE BLUE HEARTSや忌野清志郎（RCサクセション）なども出演してきた会場だ。ここでSHO-SENSEI!!が歌うということについて、不思議な必然性と意義深さが感じられやしないだろうか。ときにスタンド・マイクを用いて歌う彼の姿は先達のレジェンドたちと重なるようでもあった。

……と、そんなことを考えていたら、セットリスト唯一のバンガーなトラップ曲「King!! Kong!! Kang!! Kong!!」が投下され、ロックの老舗ライブハウスらしからぬサブベースで会場ごと揺さぶる。この曲はSHO-SENSEI!!が今のスタイルを確立する前の代表曲であり、しばらくは封印されていたが、前回の対バン・ツアーより再び解禁。彼なりの決着がつけられたのだろう。潔くスタイルをスイッチする様は、ワンマン・ライブという長いセットにおいて緩急を付けるアクセントとして機能していたし、オーディエンスも変わらずシンガロングで応える。

「最近出した新曲、聴いた？」と問いかけた「ナントカ流星群」、パフォーマンス前に年齢を重ねるにつれて遠く離れてしまった仲間たちへの想いが語られた「where u at」といった最新モードの楽曲を経て、「サテライト」「ハナレバ」で本編は終幕。

しかし、「この後、アンコールってやると思うけど、ああいうの気まずくてできないから」と言って、ステージから捌けずにそのままアンコールに突入。今冬、公演数を9箇所に増やした全国ツアーを開催する旨を伝え、新曲の「Oil」を披露。トラップ・ビートと哀愁漂うギターの音色が牽引するミニマルかつメロウな1曲だ。そしてこの日の熱量をさらに更新する「Hundred Thousand」と、お馴染みのラスト・ナンバー「最終列車」でアンコールを締めくくり、SHO-SENSEI!!はフロア最前のオーディエンスと握手をしつつステージを後にした。

以前のワンマン・ライブや対バン・ツアーと比べ、今回のライブではよりSHO-SENSEI!!とオーディエンスのコミュニケーションがナチュラルに行われていたように感じられた。それは偶像崇拝とは異なる、ユースの代弁者としてステージに立つリアルなアーティストの姿。新曲「Oil」でも《東京ドーム》という単語が聴き取れたが、彼がそこで歌う日もそう遠い話ではないのかもしれない。

SET LIST

M1. だから一枚だけ盗んだ
M2. サザン
M3. 国道
M4. 電子レンジ
M5. 道路工事
M6. shutter
M7. Legend
M8. Orion
M9. 望遠鏡
M10. Fender
M11. LEGO
M12. King!! Kong!! Kang!! Kong!!
M13. ナントカ流星群
M14. Thunder
M15. where u at
M16. Diamond
M17. メトロポリタン20,905
M18. サテライト
M19. ハナレバ

EN1. Oil
EN2. Hundred Thousand
EN3. 最終列車

SHO-SENSEI!!が考える多様性の在り方ーー大事なのは自分を偽らないこと

LIVE INFORMATION

全国9都市でのワンマンツアー決定！

2023年11月4日（土）札幌
2023年11月5日（日）仙台
2023年11月11日（土）岡山
2023年11月18日（土）浜松
2023年11月24日（金）福岡
2023年11月25日（土）広島
2023年12月2日（土）大阪
2023年12月3日（日）名古屋
2023年12月7日（木）東京

※会場など詳細は後日発表

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