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文: 石角友香 編:Miku Jimbo
現実なのか夢なのか、本気なのかそうでもないのか、自信があるのか不安なのか、大人なのか子どもなのかーーほろ酔いから命名されたこのバンドの音楽を聴いていると、その名の通り、毎日の暮らしの中での規範や行動なんて曖昧なものだと改めて思う。ただそれを言葉だけで気づかせるわけじゃないのがholoyoiというバンドのオリジナリティだ。2022年3月に活動を開始した平均年齢19歳の男女混交3ピースバンドで、メンバーは主に曲を書いている皓哉(Vo,Gt,Key)と、いろ(Vo,Gt)、もんしろ(Dr,Cho)から成り、インディーズバンド音楽配信サイトEggsから初のオリジナル音源「睦月」をリリース。翌日にはデイリーアーティストランキング1位、オルタネイティブ部門1位を獲得している。
“言葉だけで気づかせるわけじゃない”という部分がholoyoiの魅力なのだが、具体的にいうと16ビートを刻むとしてもブラックミュージック直系のリズムをストイックに演奏するというより、Jポップや日本のギターバンドが昇華してきたグルーヴを参照していると思われることが一つ。1stシングルの「華飾り」は全ての楽器の音の響きの余韻がいい塩梅の曖昧さにつながり、特定のジャンル感から距離を置いている。2ndシングル「夜振り火」もいい意味でコードもボーカルも輪郭が淡く、そのことが聴き手に理解の余白を与えている。また、このバンドの特徴であるタイトルや歌詞に季語や短歌風の言葉使いが登場するのも、日本人だからこそ感じられる季節の空気感や感情だけじゃない表現を可能にしていると思う。皓哉・いろの男女ツインボーカルも、二人ともイノセンスの塊のような透明感をその声に湛えているだけに、曖昧で儚いストーリーを素直に届けることができるのだ。
10月4日にリリースした3rdシングル「万年少年」は全編のボーカルを皓哉が担当。しかもトーキングボーカルのような語り口はラップに近い印象で、なおかつオートチューンもかかっている。この感覚はインディR&Bやオルタナヒップホップのアーティストの作品での手法でポピュラーになった感があるが、日本のバンドだとGalileo Galileiの近作にもあることを思い出す。だが、holoyoiのエフェクトはごく遠慮がちだ。
この遠慮がちなエフェクトはおそらく恋愛に関する歌詞の独り言めいたスタンスを演出しているんじゃないだろうか。脇目もふらずに恋に恋する季節は終わり、自分の行動を俯瞰しながら恋していたり、かと思えば《恋なんて奔流だよ》と開き直って(?)みたり。最終的には《きっと、流れ星より早く君は捕まえられないかな それなら明日の天気の言う通りにしてみようか》と、運命に身を任せて前を向いてみたり。この一連の心の動きが、膨大なワードを費やして流れるように歌になっていることが、体験的で面白い。
もはや少年ではないけれど、大人でもない19歳という季節の多少の達観と、持て余す感情の波。それを洒脱と素朴さの間にあるようなサウンドに乗せるという、00年代生まれの感性がこのバンドの不思議なオリジナリティとして際立つ。何か特定の先人を目指していなさそうなこの若者たちの音楽の行先が気になる。
RELEASE INFORMATION
New Single「万年少年」
2023年10月4日(水)リリース
holoyoi外部リンク
early Reflection
early Reflectionは、ポニーキャニオンが提供するPR型配信サービス。全世界に楽曲を配信するとともに、ストリーミングサービスのプレイリストへのサブミットや、ラジオ局への音源送付、WEBメディアへのニュースリリースなどのプロモーションもサポート。また、希望するアーティストには著作権の登録や管理も行います。
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