物語を見つめる、幽体コミュニケーションズのまなざし

Review

文: DIGLE編集部 

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回は幽体コミュニケーションズをご紹介します。

空気と溶け合う音楽を

2019年、京都で結成された3人組・幽体コミュニケーションズ。彼らは、さまざまな音楽をいちど解体し、ミニマルかつ自由に組み直しながら、四季の移ろいや形ないものを音として表現していく。

最新シングル『座礁(十月)』は、座礁した鯨にまつわる伝承から着想を得、10月という季節と重ね合わせた楽曲だ。レコーディングには、客演として折坂悠太(重奏)のメンバーでもあるsenoo ricky(ドラム)と宮田あずみ(コントラバス)を迎え、スケールの大きなテーマを扱うにふさわしい豊かな音像を描き出している。
鯨や船、大きなかたちを持ち、その分の物語を蓄えたなにかが、ひとつの終わりを迎える現象としての“座礁”。それは同時に、朽ちていく物語のはじまりでもある。
季節と季節の狭間を迎える10月という時期と、座礁するものたちへのまなざしが共鳴する、静謐な1曲に仕上がっている。

ジャンルの枠を飛び越え、音とのびやかに戯れながら、曖昧なものの輪郭を照らし出す幽体コミュニケーションズ。彼らから届いた秋の便りを受け取ろう。

幽体コミュニケーションズ

SNSで記事をシェア

SNSフォローで
最新カルチャー情報をゲット!

閉じる