文: 石角友香 編:Miku Jimbo
オレンジピンクの髪色にクロップドTシャツ。今の若い女性に珍しくないルックスではあるけれど、ガールズバンドのメンバーかダンサーか?という第一印象に反して、ナギサワカリンは主にフォークロック調の楽曲を歌うシンガーソングライターだ。埼玉に生まれ、その後、東京、オーストラリア、大分と土地を移り変わりながら育ってきた彼女。大分時代にカバーを中心に音楽活動をスタートし、同時にアイドルや舞台、バラエティ番組への出演も経験してきたらしい。ライブ動画やSNS上での堂々とした佇まいは天性のものもあるだろうが、どこか衆目に晒されることで鍛えられてきた部分もあるのかも知れない。東京に拠点を移してからはライブハウスでの活動を主軸として、生の歌声、パフォーマンスを第一に届けようとしている。
ナギサワカリンの音源としては2022年、初流通盤1st EP『君を待っている』が最初のリリースで、Eggs Choice!週間ランキングで初登場にして1位を獲得。収録曲の「僕の街まで」には少し渡辺美里の「My Revolution」を想起させるメロディや瑞々しさが窺え、かつ、彼女の楽曲に頻繁に登場する“街”というテーマは人とその場所にまつわる思い出を表現する上でとても大切なファクターなのだなと実感するのだ。他にもネオソウルやファンクのテイストもある「Miree Drive」では、ブルージーなさすらいのイメージも広がる。そうした楽曲に説得力を持たせているのはコシのある低音や地声のトーンであり、クセのないまっすぐでデカいボーカル。「明日を生きる、全ての不器用達へ。」というキャッチフレーズを掲げているのは、何より彼女自身が不器用だからなのかも知れない。
歌声と言葉を何よりの持ち味として戦うナギサワが、5月リリースの「Hopeful」に続くデジタルシングル「パレード」をリリースする。「Hopeful」ではこれまでより淡々としたテンションのボーカルが印象的だったが、それは自由が丘商店街PRムービー『女神の街』のエンディングテーマというお題の影響もあったのかも知れない。ここでもそこに住む人や訪れる人をイメージし、街という媒介だからこそ普遍的に人の心を動かす作品を仕上げていて、テーマのハマりの良さが証明されていた。
3rdシングルとなる「パレード」は2022年に公開された映画『グッドバイ、バッドマガジンズ』の主題歌に起用された楽曲だ。成人雑誌という知られざる制作過程におけるリアルを実話も盛り込んで展開した作品をテーマに、ナギサワはさらに迫力のあるボーカルと洞察に富んだ歌詞表現を見せてくれる。パレードという輝かしいワードとは裏腹に、ここでは追い討ちをかけるようなネガティヴな感情を表している。どんどん冷えていく相手の気持ちや態度を“綿のないくまの人形”と綴る感性、それを澱みない声で歌う容赦のなさ。男性の一人称で書かれてはいるが、怖さや後悔の念は性別を超えてブッ刺さる。シンガーソングライターとしての深みと凄みを増したこの曲が世に放たれた先が気になって仕方がない。
RELEASE INFORMATION
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New Single『パレード』
2024年7月17日(水)リリース
〈early Reflection〉
early Reflection
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