文: 石角友香 編:Kou Ishimaru
モダンなR&Bが世界基準となっている今、東アジアの若いアーティストたち、主にシンガー・ソングライターは、それをベースに持っている。彗星のごとくシーンに登場しつつ、どこかマイペースに見える彼ら、例えばRol3ertや今回紹介するTASHIAがそうだ。そして暑い国が育んだメロウネスをたたえるタイやインドネシアのアーティストたちに共通したナチュラルな越境体質を感じる。国も時代もジャンルもフラットに眼差しながら、今のサウンドに落とし込むセンスがそれだ。さて、本題のTASHIAに移ろう。神奈川県藤沢市出身のシンガーソングライターである彼は2022年よりソロ活動をスタート。デビューシングル「LIFE IS BEAUTIFUL」はアトモスフェリックなシンセサウンドにそこはかとなく海の気配も潜ませたモダンなポップスに仕上がっており、何らかの挫折から立ち上がった若者の静かな決意を透明感と痛みを内包したボーカルで表現していた。この曲が音楽配信サービスで早々に20万回再生を突破。さらにドリルのリズムを用いた「Flowers In Room 205」はタイのチャートで12位、インディポップテイストの「i wish that i could make u sad」は英語・日本語が混ざる歌詞ながら、スイスのデイリーチャートで17位にランクインするなど、国内外でいいリアクションを得ている。
前出の「Flowers In Room 205」、「i wish that i could make u sad」も収録した1stアルバム『I really really hope so』を2024年9月にリリース。Justin Bieber(ジャスティン・ビーバー)などUSの今を象徴するサウンドはもちろん、英語と日本語を自在に行き来する歌詞や、現実に少し参っているメンタル、そして誠実な気持ちが伝わるラブソングのあり方に、DURDNにも通じるセンスを感じたりも。気を張らずに付き合えて、時代感も伴ったポップミュージックというわけだ。
2025年はニューアルバムのリリースも目標にしているらしく、9月3日には「a reason to live」がリリースされたばかりだが、早くも9月19日に新たな配信シングル「fall in luv with me」をリリースした。歌始まりのキャッチーさはもとより、そこに載る歌詞は《Every night I talk to the moon. And can't get your smile out of my head.(毎晩 月と話すんだ。君の笑顔が頭から離れない)》という恋の始まりの高揚感。暴走しそうな気持ちと「もし君に彼氏がいたら?」「もし僕のこと好きじゃなかったら?」という不安が80’sインスパイアな淡くリリカルな曲調で彩られていく。そこには駆け引きも策略もなく、どうか僕を好きであってほしい、でも……と揺れる気持ちだけがクローズアップされている。エンディングもふわっと終わり、純度の高い想いだけが余韻を残す。全編英語詞で、TASHIAの柔らかな声を集中して聴ける効果もある気がするのだ。声も人物のフィロソフィもごく自然体で、しかも世界基準のポップスがここで鳴っている。
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