文: 石角友香 編:Kou Ishimaru
今年3月リリースのデビューシングル「地獄の果て」のタイミングでも紹介した、平均年齢20歳の男女混成バンド、サウルス。音楽大学の受験会場で聴いたやまだ(Vo. / Gt.)の曲の良さに感銘したあらち〜(Gt.)がバンドに誘い、大学合格後にくるみ(Ba.)とふぬ(Dr.)を誘ってバンドを結成。勢い余った印象もあるが、それだけやまだの作る曲の求心力があったという証左だろう。2023年の結成以来、着実にライブバンドとしても成長し、ライブパフォーマンスの確かさや、歌を軸に初見のオーディエンスを掴む強さは下北沢のライブハウスのブッカーも高く評価している。
前出の「地獄の果て」に続き、5月には2ndシングル「ええじゃないか」をリリース。4つ打ちのアッパー系だが、歌詞では怪獣の襲来によってこの世に独りきりになってしまったことで、むしろ面倒だと感じていた社会生活を生きることを《ええじゃないか》と綴っている。このトーンは「地獄の果て」からつながるもので、今を生きる若い世代に響く、サウルスのロックの背骨のようなものだろう。続く7月リリースの3rdシングル「パーマ」はシャッフルの軽快さや4ビートも取り入れた新鮮なナンバー。自分ではいいと思っているヘアスタイルが不評で、イケてる/イケてないの判断を多数派に任せてしまいそうになる主人公。だが、世間からズレていたとしても読み方もわからないような少数派なバンドを聴くなど、未知のものに手を伸ばしていこうとする。逡巡はあってもコスパ/タイパより自分の“好き”を見つけようとする姿勢はむしろ今、若い世代の新しいスタンダードにハマるのかもしれない。
そして9月10日にリリースした4thシングル「夏のせい」は、これまでの生き方を描く楽曲の延長線上にありつつ、まさに夏らしく季節の匂いや実感がリアリティの種になったラブソング、のように一見受け止められる。だがほんとにそうだろうか? 高校生の女の子が主人公とおぼしきこの曲。パワーポップ風のクランチなリフがザクザク刻まれ、痛快な8ビートが、広がる青空をイメージさせるAメロからサビまでは、夏休み前の恋の始まりの予感。だが、テンポダウンするダブっぽいセクションでは夏という季節にほだされた勘違いなのでは?という不安が顔出し、速いスカビートのセクションでは自分が振り回していたつもりが、相手に振り回されているんじゃ?という焦りがリアルだ。これは恋なのか? それとも夏の勘違い? 思い当たるフシが満載された物語性抜群の構成は実にサウルスらしいもの。今回もデビュー以降プロデュースを手掛けるRyo’LEFTY’Miyataのメリハリの効いたサウンドプロダクションが、曲にポップさを与えている。夏が異様に長い今年。二学期が始まった今、「夏のせい」の続きをおのおの確かめてみるのもいいかもしれない。
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