音楽とクラフトビールをつなぐ「クラフトビアマーケット 」|フェス飯名店巡り

フェス特集

文: 久野麻衣 

日常でもフェスを感じられるようなフェス名店の実店舗をご紹介。今回は<FUJI ROCK FESTIVAL>でクラフトビールを提供している「クラフトビアマーケット」。

フェスにビールは欠かせない!という方も多いのではないでしょうか。飲食にこだわりのあるフェスでは個性あふれる味わいが楽しめるクラフトビールを置くお店も増えてきました。中でも<FUJI ROCK FESTIVAL>で様々な種類のクラフトビールを提供しているのが「クラフトビアマーケット」。その味を求めて最奥地までお店を目指す人も少なくありません。また、自ら音楽フェスを主催するほど音楽との関わりも深いお店です。

そこで「クラフトビアマーケット」を運営する株式会社ステディワークス代表取締役の田中徹さんと神田店店長の森陽亮さんにフェスやクラフトビールについてお話を伺いました。

左:田中徹さん 右:森陽亮さん

フジロックで出るビールは1万杯以上

-クラフトビアマーケットさんはなぜ<FUJI ROCK FESTIVAL>(以下、フジロック)に出店されるようになったのですか?

田中:個人的に音楽がすごく好きなので、2002年からずっとフジロックには参加していたんです。いつか出店できたらいいなとは思ってたんですけど、2016年に僕らが主催している<CRAFTROCK FESTIVAL>(以下、クラフトロック)というフェスでSMASHさんに制作で入ってもらったんです。その時にSMASHさんから「ぜひフジロックでもやってほしい」というお誘いをもらって、2017年からフジロックで出店しています。

-フェスの会場でクラフトビールを出すにあたり、一番大変なことは何でしたか?

田中:クラフトビールは要冷蔵なので、必ず近くに冷蔵車が必要なんです。さらに三日分のビールとなるとかなりの量になりますし、それを積まないといけないというのは大変ですね。でもフジロックが凄く好きで、あそこでクラフトビールを飲んでもらえたら自分も嬉しいので。


-フジロックに出すクラフトビールはどういう基準で選んでるのでしょうか。

田中:いつも20種類ほど用意していますが、基準はフェスの炎天下なのでスルスル飲みやすいもの、そしてクラフトビールを知らない人も多いと思うので、代表的なビールでわかりやすい味のものなどですね。ただ音楽好きの人って深堀りするので、そういう人にも満足してもらえるようなコアなビールもバランスよく選んでいます。あと音楽にも通じるようなビールメーカーさんもいれてます。

-音楽に通じるようなメーカーさんとは?

田中:「ブリュードッグ」というメーカーは「PUNK IPA」「HARDCORE IPA」といった音楽にちなんだ商品名のビールを出しているんですよ。そうなると飲んでみようって気持ちになるかなと思って選んでいます。
あとは<SNOW MONKEY BEER LIVE>というフェスを開催している「志賀高原ビール」。当日はスタッフの方にもお手伝いにきていただいているんです。

-過去2年で一番大変だったのはやはり初出店の年ですか?

田中:そうですね。2017年はとにかく天気が悪くて、バックヤードが水没したり、大嵐の中ひーひー言いながら営業していました(笑)。他のベテランの出店者さんはうまいこと養生したりしていて、それを見て勉強させてもらいました。

-フジロックの三日間ではどれくらいの量のビールが出るのでしょう?

田中:大体5000Lくらいですね。ビール1杯大きいサイズで500ml弱なので、1万杯以上出ている計算になるんです。でも時間が長いので1万杯売っている実感はあんまりないんですけど、終わってみたらこんなに売れたんだって嬉しくなります。来場者が約12万人なので、大体10人に1人が飲んでくれてるんだなって。

-主催されているクラフトロックを始めたきっかけは、やはり自分が音楽好きだったからですか。

田中:そうですね。よくフェスには行ってたんですけど、お酒にこだわっているイベントって意外と少ないと思っていて。フジロックのグリーンステージでクラフトビールを飲みながら観たいっていう夢があったので、自分でやってみようと始めました。

-実際始めてみていかがでしたか?

田中:2014年は晴海ふ頭で開催したんですけど、日程がサマソニと同じ日だったんです(笑)。でも、思ってたよりお客さんが来てくれて、みんなビールを飲みながら楽しんでくれたみたいでよかったです。その頃はまだクラフトビールの知名度もあまりなくて、音楽目当ての人が圧倒的に多かったんですけど、今は音楽も好きでビールも好きなお客さんが増えてきたかなって思います。

-以前の野外フェス形式から今年はサーキット形式で開催されていますが、場所や形式にはこだわらないというお考えですか?

田中:フェスから生まれたビールメーカーがあっても面白いんじゃないかと思って、5年前ぐらいからビールメーカーを作る構想があったんです。そこに向けて、音楽を売りにしたビールメーカーというテーマを考えた時に、クラフトロックではビール好きなアーティストさんを集めたりしていたんですけど、まだ始まったばかりのイベントだったのでブッキングがうまく行かなかったんです。

そこでいつか大きいイベントをやると長い目で考えた時に、アーティストさんともっと繋がりを作ってから勝負すべきだなと思ってサーキットの形に変えたんです。

-なるほど。

田中:それに今回吉祥寺で開催したんですけど、自分は子供のころから吉祥寺でずっと遊んでいたんです。今も三鷹に住んでいて吉祥寺に2店舗出しているんですけど、吉祥寺を盛り上げたいなという思いもあって。吉祥寺はミュージシャンの方もよく飲んでいて、音楽とお酒の文化がちゃんとある街なんですよね。

-では音楽イベントの方はこれからさらに発展していきそうですね。

田中:そうですね。来年の開催もすでに計画していますし、今年の9月27日にはブリューパブのオープンもあります。日本橋のコレド室町テラスという新しいビルの一階に入るんですけど、醸造所があってライブバーも併設されているので、頻繁に音楽ライブをやるお店にしたいなと思っています。

クラフトビールとマッチする個性的な料理達

-クラフトビアマーケットは各店舗、それぞれ異なるコンセプトのもと営業されていますが、こちらの神田店はビールとラム肉がコンセプトということで、そのチョイスの理由を教えてください。

田中:フレンチ、沖縄料理、メキシカンなど色々なテーマでお店を作ってきて、初めて食材をテーマにしたお店なんですよ。クラフトビールって香りが強いお酒なので、料理のほうも香りが強い方が合う。香りがしっかりしてるといえばラムだなと。個人的にラムが好きですし、神田には他にも羊料理の有名なお店があったのでラムの町だなって思ったんです。

-お客さんの層は近くで働いている方が多いんですか?

森:7割ぐらいがサラリーマンで、仕事帰りに来られる方が多いですね。最近ドラマ『獣になれない私たち』の影響もあるのか、一人で来る女性の方も増えています。女性でカウンターが埋まる日もあったりして。

-こちらの人気メニューはなんですか?

森:ビールは日によって違っていて、平日はよく知られたスタンダードなビールがよく出ますが、土日は珍しいビールを飲みに来る方が多いんです。
お食事は様々なラム肉料理を置いていますが、ラムチョップ、ラムとパクチーの餃子が人気です。餃子には結構パクチーが入っているんですけど、味の強いビールとラムとパクチーがマッチするとすごく美味しいんですよ。

ラムチョップ

-想像しただけでも美味しそうです…!では今年のフェス出店に向けた抱負をお願いします。

田中:まだ、フジロックへの出店は決まっておりませんが、もし出店が出来るようになった際には、イベントを一緒に盛り上げたいという気持ちがあるので、昼・夜とそれぞれのシーンに合わせてビールのラインナップを選んでみようかなと思っています。夜はじっくり飲めるビールにしたりして時間帯ごとにラインナップを変えて行きたいと思いますので、いらっしゃる方はそこも意識しながらより楽しんでもらえたらなと思います。

-実際クラフトビールは種類が多くて迷ってしまう方も多いと思うのですが、上手に選ぶ方法ってあるのでしょうか?

田中:売ってる人に聞いてみるのがわかりやすいですね。運が良ければ一口飲ませてもらえるかも。クラフトビールのお店は割と当たり前にテイスティングがさせてくれるので。あとアルコール度数が書いてあるので、そこが一つの基準になると思います。高いと味も強めです。

森:アルコール度数が強いものから飲むと、軽いものを飲んだ時に味がわからなくなったりもするので、軽いものから徐々にいくのがおすすめですね。

田中:僕はフェスではアルコールは低いけど、ぐびぐび飲めて味がしっかりしてるものを選んだりしています。「セッション」という名前がついているビールはフェスで飲みやすいですよ。「セッション」は低アルコールで飲みやすいスタイルのビールによく付いている名前で「セッションIPA」とかがありますね。
ぜひ色々試してお気に入りを見つけてみてください。


代表の田中さんはフジロック好きということもあり、今年の出店も非常に楽しみにしているようでした。まだ正式決定前でどのエリアに出店するかは分からないそうですが、フジロックでは日を追うごとに完売の種類も増えるので早めに足を運ぶのがおすすめです。
店舗も入りやすい雰囲気なのでフェスとは違った味わいのクラフトビールをラム料理と一緒に堪能してください。

Shop Information

クラフトビアマーケット 神田店

◾️OPEN
月~金:ランチ: 12:00~14:00 / ディナー: 17:00~23:30
土日祝:ランチ: 12:00~17:00 /ディナー: 17:00~23:30
定休日:無休(年末年始)
◾️ACCESS
〒101-0044
東京都千代田区鍛冶町1-7-5 MISU BLDS KANDA 1F
◾️TEL
03-6260-9477
◾️URL
http://www.craftbeermarket.jp/kanda/

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