「一人でも多くの人をグッとこさせたいだけ」ドローイングアーティストSUGIの作品にかける想い

PARA-特集

文: Hiroyoshi Tomite  写:Cho Ongo 

パラダイム・シフトをテーマに9/1に開催される『PARA-』。インタビュー最後は第1回の開催同様にメインビジュアルを手がけてくれたSUGIに話を聞いた。絵描きとして生きていくこと、“楽しい”と思える感情を作品に落とし込むこと、そして絵という非言語の作品を残して、生きることについて。

PARA-に関わるクリエイターにインタビューの最後を飾るのは、メインビジュアルを手がけてくれたSUGI君。KANDYTOWNのアートワークなど今回の出演者KEIJUにも距離感が近いところで活躍を続けてきた彼。スケボーカルチャーに多大な影響を受け、絵一つで身を立てている。自身の作品の生まれる源泉、作家として大事にしていること、シンプルな言葉の裏に止むことのない情熱が見え隠れした。


何者かになりたかった学生時代。絵描きとして生きている今

ーそもそも絵を描きはじめたのはいつ頃ですか?

大学時代です。和光の芸術学部に入ったんですけど、周りはKANDYTOWNとか音楽をやってるやつばかりで。彼らが徐々に注目を集めるようになった時期だったので、僕も“何者か”になりたかったんですよ。当時スケボーに熱中して、プロ目指すくらいの気持ちでやっていました。でも怪我をしてしまってどうしようかなぁって考えていたんです。自分が結構スケボーだけじゃなくって、スケボーカルチャーから派生したグラフィティカルチャーも好きになっていたし、昔から友達に「絵が上手だね」と言われたり、賞をもらう機会もあったので、『絵で行こう』と思ってはじめましたね。

ー最初はどんな絵を?

シルクスクリーンで色々とやってました。当時ベタですけど、アンディー・ウォーホルやロバート・ラウシェンバーグなどが出ていたアメリカンポップアート展に結構食らって。それから雑誌やZINEのコラージュをやってみたり…。試行錯誤していましたね。まずはストリートアートから入ったんですけど、美術館に行って、絵画の描き方を盗んでやろうみたいなつもりで観て勉強して。コラージュをやっていた頃はあんまり反応がなかったんですけど、徐々にアクリルや油絵で描くようになると周りも反応してくれるようになりました。

ー絵描きとして生きていくというのは、ミュージシャン以上に“道なき道”を行く行為ですよね。

ほんとに探り探りですね。でも最近だとありがたいことに毎月のように色んなところからお声掛けがかかって展示をやらせてもらう機会に恵まれて。

ー音楽のビジュアルだけではなくて、ファッションブランドとのコラボレーション。そして月イチでのクラブイベント“mari”など活動が幅広いですよね。ずっと作品を出し続けるのは時に難しさを伴いそうですが。

そうですね。でも絵を描いて対価をいただけるのは、本当に感謝でしかないから。絵を描く量が多くて辛くても、もっと辛い時期がいっぱいあったので…。絵描きとして頑張りたいし、今はもっと先に行きたい思っていますね。まだまだ上手くなりたいし、でっかい仕事で活躍したりしたいなと。

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SUGI(スギ)/1990年三重県出身。ヒップホップグループKANDYTOWN関連のZINEやアートワークを手がける他、「MUSIC ILLUSTRATION AWARDS 2017」にてBeams T賞を受賞する。雑誌の挿絵やイベントなどでライブペイントなど行っている。
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