終わった恋のリアルな距離感。TRACK15待望の新曲「話したいこと」

Review
ポニーキャニオンとDIGLE MAGAZINEが新世代アーティストを発掘・サポートするプロジェクト『early Reflection』より、今おすすめのアーティストをピックアップ!第31回目は、TRACK15をご紹介。

ギターロックの中にオルタナティヴロック、シューゲイズやポストロック、シティポップ寄りのライトなファンクなどを忍び込ませながら、特徴的なのはブレス要素多めの淡くて透明感のある、甘噛みっぽいボーカル。以前なら弾き語り動画をアップしていた宅録ボーカリストはトラックメーカーと組んでLo-Fiヒップホップを作ったりしていたが、ここ2〜3年はバンドのボーカルにその特徴が多く見られるようになった。
TRACK15もその一つ。すでに大阪のバンドシーンで頭角を表し、2023年4月にリリースした初の流通盤1stシングル『Three』がオリコンチャート「週間ROCKシングルランキング」で最高位8位を獲得。さらに収録曲の「私的幸福論」のミュージックビデオはYouTubeにて28万回再生を記録するなど、リスナーを拡大中だ。

大人の一歩手前にいる世代の身近な感情。それらを柔らかく包むバンドの現代性

『Three』時の同誌のインタビューで結成の経緯などは語られているが、ボーカルの蓮の弾き語り動画を見た他の3人(高橋凜/Ba.,Cho、前田夕日/Dr.,Cho、寺田航起/Gt)がSNSを通じて声をかけたことを発端に結成。大阪を拠点としつつ、2023年9月に下北沢で開催された<TOKYO CALLING>では入場規制がかかるほど盛況ぶりを見せ、地元大阪での<MINAMI WHEEL>でも満員の盛況となった。そもそもの曲の良さが、TikTokを使ったライブのショート動画の見せ方のうまさと相まって、バンドプロパー以外に広がったことに加え、初めてライブに触れたオーディエンスも演奏の良さや世界観の深みでガッチリ掴んできたことの成果が、この秋、現れているのだろう。

蓮の淡さの中にある情熱のようなものを感じる声質がハマる曲は、その題材に少年期を終え、青年に差し掛かる世代特有の不安や焦燥を滲ませており、特に孤独な夜に誰かを思う「眠れない」や、もどかしい二人の距離を歌う「夜と僕の話」など、リスナーが自分ごと化できる要素しかない歌詞の筆致はかなり研ぎ澄まされている。その上で、ギターサウンドや重ね方が作り出すエアリーで透明な音像は夜の空気の冷たさを感じさせ、切ない主題を静かに包み込む。もちろん、アッパーな曲もあるけれど、リスナーが一人でTRACK15に出会い、ハマるシチュエーションではこれらの曲が流れているんじゃないだろうか。

音像やアレンジを含めた曲の良さに加え、ライブの動員も目覚ましく増えている中、11月22日に配信リリースされる新曲「話したいこと」はパーソナルな時間に聴くTRACK15の良さに加え、ライブが楽しみになる新たな1曲と言えそうだ。彼らの曲としては少し速めのミディアム8ビートで、ブライトなギターフレーズが牽引するイントロは端的に爽やかと言えるサウンドなのだが、話すように流れ込んでくるAメロで描いているのは終わってしまった関係を思わせる部屋の風景だ。それが徐々に感情を含んでサビに至ると、《最後に思い出すのが後悔した夏であるように》と、相手もまた、想いを残したままであることをうっすら感じている、そんな印象が切なさを増幅する。おそらくこれは、どろっとした「別れたことを後悔しろよ」という感情じゃないのではないだろうか。そして後半には《戻らないことがさ もどかしくて嫌になりますように》と、さらに想いは本音に近づいていく。ちなみにこの歌詞は女性目線で書かれたものだ。これまでの代表曲と言える「私的幸福論」もそうだったが、現実の恋愛では女性の立場も男性の立場もどちらもありえるだろう。おそらく、蓮が書く歌詞の女性目線の言葉選びやシチュエーションが、彼の声やメロディにこの上なくハマるからなんだと思う。

人生を決定づけるような話題や、大人と呼ばれる年齢のライフイベントの手前にいる世代にとって、とても身近で、日々実感しているような恋愛や人との関係。それらを柔らかく澄んだ空気に満ちた音像で鏡のように映してくれるTRACK15というバンドの現代性は、今後さらに注目されるに違いない。

RELEASE INFORMATION

New Single「話したいこと」

2023年11月22日(水)リリース
06(o-six) records

early Reflection

early Reflectionは、ポニーキャニオンが提供するPR型配信サービス。全世界に楽曲を配信するとともに、ストリーミングサービスのプレイリストへのサブミットや、ラジオ局への音源送付、WEBメディアへのニュースリリースなどのプロモーションもサポート。また、希望するアーティストには著作権の登録や管理も行います。
マンスリーピックアップに選出されたアーティストには、DIGLE MAGAZINEでのインタビューなど独自のプロモーションも実施しています。

▼Official site
https://earlyreflection.com

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TRACK15(トラックフィフティーン)

大阪、高槻出身の4ピースギターロックバンド。メンバーは、蓮(Vo, Gt)、高橋凜(Ba, Cho)、前田夕日(Dr, Cho)、寺田航起(Gt)。

同じ専門学校に通っていた寺田、高橋、前田の3人に、SNSで弾き語りを行っていた蓮が加わり2020年10月に結成した。蓮の唯一無二の歌声と抜群のメロディセンスを軸とした、メンバー全員による目新しいアレンジや演奏が武器。若者世代はもちろん、年齢を問わず数多くのロックファンを魅了。2022年からは数々の巨大サーキットイベントにも出演し、バンドとしても着実かつ確実に急成長を遂げている。2023年4月に、初の流通盤1stシングル『Three』を〈06(o-six) records〉よりリリース。本作がオリコンチャート「週間 ROCKシングルランキング」にて最高8位にランクインした。
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