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文: 石角友香 編:Miku Jimbo
2010年代後半以降、USインディとオルタナティヴR&B両面の影響下にあるバンドは実に多い。時にその成分にRobert Glasper(ロバート・グラスパー)以降のジャズ要素が濃厚なバンドも輩出され、今や邦楽ロックシーンでも横ノリできるレパートリーを持つバンドは数多く存在するようになった。そこで今回紹介するBlufog。2018年から前身バンドで活動をスタートしたが、2023年に改名し、Rikuto Yoshida(Dr,Vo)とDaigo Ishigaki(Gt)の2ピースバンドとして、主に下北沢でライブ活動を行っている。Rikutoはeasy life(イージー・ライフ/現・hard life)やStill Woozy(スティル・ウージー)などのインディロック、Steve Lacy(スティーヴ・レイシー)やFrank Ocean(フランク・オーシャン)などオルタナティヴR&Bの両方を好み、Daigoはギター練習の始まりはThe Beatles(ザ・ビートルズ)で、オールタイム・フェイバリットはJohn Mayer(ジョン・メイヤー)やRadiohead(レディオヘッド)だという。まさに2010年代後半以降のバンドに顕著なメンタリティだ。そして2ピースという形態もあってか、Blufogの音楽世界はとてもシンプルで風通しがよく、いい具合に脱力している。時にオルタナティヴR&Bに潜むシリアスな視点や厭世観みたいなものはほぼ感じない。
2024年は11月までに2曲シングルをリリースしており、1stシングル「Close to Me」ではDaigoのクリーントーンのギターリフが爽やかな色気を醸し、Rikutoのデッドなドラムサウンドと相性抜群。好きな人に想いを伝えられないもどかしさを表現したラブソングだ。この曲は〈HOLIDAY! RECORDS〉をはじめ、イギリスの『Purple Melon』やアメリカの『The Luna Collective』といったミュージックフリークの信頼を集めるメディアで紹介された。そして2ndシングルの「Chillin’ Out」はタイトル通りリラックスしたインディロックで、ほんの少しレイドバックしたビートが、一日中チルっていたいと歌う主人公の願望をリアルに映し出す。この曲はアメリカ版Spotify公式プレイリスト『Fresh Finds Indie』に選出。英語詞であること以上に曲やサウンドの質感が海外のキュレーターの耳に引っ掛かるのだろう。
そして2024年ラストのリリースは3rdシングルとなる「Broken」だ。前出の2曲に比べるとテンポアップしたビートとRikutoの話すようなテンションのラップが特徴的な、Blufogの新しい側面が感じられる1曲。ループするDaigoのリフもグルーヴの推進力になっている。これまで、なんてことない日常を歌っていた(とはいえ、聴けたのは2曲だけだが)Rikutoだが、今回は人生と音楽についての苦悩がかなり赤裸々に描かれていることに驚かされる。英語で書かれた歌詞がわかると、ループ構造の意味ともリンクして少しブルージーに感じるぐらいだ。“僕の人生は壊れているのはわかっている。それでも僕の人生をやめられない”、つまり“でもやるんだよ”というマインドは普遍的だし、バンドの意思も透けて見える。ちなみにRikutoの歌詞にはミュージシャンや映画の主人公の名前が登場するのだが、この曲では映画『トレインスポッティング』のマーク・レントンが引かれている。そんなところも海外インディと共振する部分だ。このシンプルさを極めていくのか、複雑になっていくのかも気になる。
ちなみに年明けには沖縄のコザで開催されるアジアのアーティストのショーケース<Music Lane Festival Okinawa>への出演も。国内からはさらさ、TURTLE ISLAND、HOME、HALLEY、TOSHらがラインナップされている。
RELEASE INFORMATION
New Single『Broken』
2024年12月18日(水)リリース
〈wonderrwall〉
early Reflection
early Reflectionは、ポニーキャニオンが提供するPR型配信サービス。全世界に楽曲を配信するとともに、ストリーミングサービスのプレイリストへのサブミットや、ラジオ局への音源送付、WEBメディアへのニュースリリースなどのプロモーションもサポート。また、希望するアーティストには著作権の登録や管理も行います。
マンスリーピックアップに選出されたアーティストには、DIGLE MAGAZINEでのインタビューなど独自のプロモーションも実施しています。▼Official site
https://earlyreflection.com
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