文: 石角友香 編:Miku Jimbo
「音が在る」という凄まじく強いアーティストネームを持つ、現在二十歳のアーティスト松澤在音。東京を拠点に活動しており、SoundCloudにはゆらゆら帝国の「空洞です」や細野晴臣の「ろっかまいべいびい」のカバー音源を、YouTubeやXにはカネコアヤノ、andymori、坂本慎太郎の弾き語りカバー動画をアップしている。一方、2024年11月中旬時点でオリジナルの音源は「Sunday(Demo)」1曲をサブスクリプションにアップしているのみだ。ただ、もうそのカバーだけでもこの人の内発的なグルーヴ感や、ソウルをはじめとするルーツミュージックを我流でモノにしているボーカルセンス、それでいてクセのない心地よい声質という黄金比に嬉しくなってしまうというのが正直なところ。強めパーマと濃い目の顔立ちで瞬発力抜群の弾き語りをする、その佇まいだけでもかなりの求心力がある。実際に、2024年に初のバンドセットワンマンを開催したり、浪漫革命「世界に君一人だけ」のコーラスに参加したりと、徐々に存在感を増している最中のようだ。
唯一サブスクで聴けるオリジナル「Sunday(Demo)」は音質こそローファイだが、ぶっといグルーヴとカラッとした明るいソウルネスが溢れる日常的なラブソング。伸びやかな声はメロディもラップのフロウも痛快で、最後には最後まで曲を聴いたことに対する謝辞まで入っているという何でもアリな仕上がりなのだ。この人懐こさは真似してできるもんじゃない。
そして待望のオリジナル新曲「好きにすれば」がリリースされた。これが驚きのレベルアップを演奏、アレンジ、ミックス全てで果たしており、完成度の高さにいよいよ本格始動を実感するわけだ。ミュージシャン陣のクレジットが手元にないのが残念だが、ソウル/ファンクの基本に忠実なベースとカッティングメインのギター、タイトなドラムが音数を選び抜いた風通しの良いアンサンブルを作り出している。コーラスまで盛り込んだ本格的なアレンジだが、なんといっても軸にあるのは松澤の歌だ。超ドメスティックな日本語詞は、一目惚れを相手にも運命的なものとして伝えようとするロマンチックな内容。それでいて相手に《好きにすればいい》と言う。この《好きにすれば》というフレーズは自分を丸ごと差し出しているのか?それとも自信の表れなのか? 直接、愛しているとは言わないギリギリのスタイリッシュさが微笑ましくもある。
それにしても、こんなにラブソングが似合う若者の登場は久々だ。彼の音楽とこの稀有なキャラクター共々、松澤在音というアーティストに丸ごと出会ってほしい。
RELEASE INFORMATION
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New Single『好きにすれば』
2024年11月27日(水)リリース
〈MatsuzawaZion〉
early Reflection
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