文: 石角友香 編:Miku Jimbo
2024年10月にリリースした「彗星(Prod. Shinichi Osawa)」がJ-POPやR&Bなど多数のプレイリスト入りを果たしたワタナベ・メイ。宇宙に内包された我々のコミュニケーションや心の深いところにある愛をアブストラクトで聴くダイナミズムに溢れる楽曲に昇華した鮮烈な1曲だった。年末を締めくくる“Best of 2024”の記事で「音楽で生きていく覚悟が決まった1年だった」とコメントしている通り、独特なアーティスト性をよりスケールの大きい場所で試行したのが「彗星」のワークスだったと言えるだろう。
単なるラブソングではなく、今を生きる個人としての視点が窺える彼女の作風。今回も、新曲タイトル「世界の本音」というワードセンスにまずこの人らしさを感じずにいられない。正直、断絶や不寛容を止めることが困難に思える今にあって、世界は実は争いをやめたい、もしくはもうどうにもならない、どちらを本音と捉えてもおかしくない状況なんじゃないかと思う。だが、彼女は世界を構成しているのは私たち一人ひとりだということに触れ、そしてもっと手の届く範囲のことで世界を再定義している印象を持った。ネオソウルのレイドバックしたビート感、クリーントーンのギターの爪弾き、静かに身を委ねさせてくれる安定したベースラインや光を感じるフルートなど、ポジティヴな要素が多いトラックは心のざわつきをカームダウンさせてくれる。ロック、ジャズ、レゲエ、ヒップホップ、民族音楽などを背景に持ち、生音とサンプリングを融合するバンドSAIRUのKoheiのソロプロジェクトDUBFRANKがこの曲のアレンジを手がけているのも納得。これまでに比べるとオーガニックなサウンドが、彼女のボーカリストとしての生身の魅力も照射する。しなやかさとストイックな部分を併せ持ち、せつな苦しい歌唱が持ち味だが、今回はグッと身近な存在感を湛えているのだ。それは歌詞の内容によるところが大きい。社会的な役割を日常にも持ち込んでしまいがちな二人の光景が浮かぶ日本語詞と、《what I need is just your love》とシンプルに歌う英語詞で構成する匙加減に、シンガーソングライターとしての新たな魅力も感じられる。リリースのたびに新しい表情を見せてくれる彼女に驚きを禁じ得ない。
RELEASE INFORMATION
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New Single『世界の本音』
2025年1月15日(水)リリース
〈RAINBOW ENTERTAINMENT〉
early Reflection
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