文: 石角友香 編:Kou Ishimaru
日常的にK-POPもK-INDIEもJ-POPも横断的に聴く人は多いだろう。そんなリスナーの感覚を自然体かつ精度の高いポップセンスで形にしているのがkim taehoon(キム・テフン)の魅力だ。韓国生まれ、東京育ちで、東大を卒業後はIT企業に就職したものの、音楽活動を自分のペースでやるために退職。シンガー・トラックメーカーとして活躍中だ。インタビューでは嵐が魂のルーツと話し、ギタリストとしては主にファンクの影響下にあり、加えてR&B、ネオソウル、ハウスなどの要素を今のポップミュージックに昇華している。日常的ポップという意味ではぜったくんやクボタカイ、ファンクを人懐こく自分のものにしているという意味ではMHRJに通じるものも感じる。最近では蔦谷好位置がインディペンデントな若手の曲で作った2024年のプレイリスト『2024』にmashoe’とのコラボ曲「ASOBI」をピックするなど、クリエイターからの評価も獲得。面白いトピックとしてはTOMORROW X TOGETHERの「Rise」のカバーチャレンジを行い、TXTのファンに感謝されたりも。実際、スムーズなボーカルと洒落たギターでカバーしたそれは優れたポップソングを標榜する彼らしいものだった。
2024年に彼がリリースしたEP『2024』は、初期ナンバーをアップデートした「GINGER ALE (2024 ver.)」、アイドルポップの普遍性にも影響を受けたソウルポップな「LOVE VIDEO」、承認欲求について表現したダークなシティポップ「満たされない」などを収録し、活動5周年を迎えた彼の集大成として大事なセーブポイントになっていた。2025年に入ってからは7月にシンセホーンやシンセストリングスが華やかで、ジャズっぽいセクションにもチャレンジが窺えるポップソウル「KIMI TO KISS」をリリースしている。格段に進化した構成やアレンジ、シーズンソングらしいリリックを備えながら、あくまでも人懐こい可愛さも共存させるあたりにパーソナリティが滲み出ている。
そして2025年2曲目となるデジタルシングルがすでに配信中の「Slow Dance」だ。前作から5ヶ月ぶりとなる今作も、進化した構成やアレンジ力にオリジナリティを見る。BPM的にはミディアムからスローでありつつ、完全にまったりはしていない要因として、現代のジャズに顕著なドラムパターンが挙げられる。これは前作でも印象に残った部分だが、今のポップスとしてかなりキーとなる部分だろう。ウォーミーなネオソウル感と丸みのある音像で安心感をもたらしながら随所にフックとなるリフも入れ込む不思議なアンビバレンス。それが《くだらないダンスでも踊ろうよ》《くだらない 止めどない 話を聞かせてよもっと》というリリックを伴ったときの切なさったらない。安堵と切実さという気持ちのアンビバレンスも彼の音楽では両立する。そのバランスでこそ感じられる温かさという言うべきか。
なお、目下EPも制作中とのこと。2020年代後半のポップミュージックをどう料理してくれるのか、楽しみに待ちたい。

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