世界が注目する花火×最先端テクノロジー×パフォーマンスの感動体験。<STAR ISLAND>が実現したグローバルスタンダード

夏の遊び場特集

文: 久野麻衣  写:遥南 碧 

7月20日(土)に豊洲で開催される感覚拡張型エンターテインメント<STAR ISLAND>。国内のみならず海外からも注目を集める同イベントの今年の見どころから海外での展開について、クリエイティブディレクター 小橋賢児氏と事業プロデューサー 坂本茂義氏に話を聞いた。

7月20日(土)に豊洲で開催される<STAR ISLAND>は日本の伝統花火と最先端テクノロジーとパフォーマンスがシンクロすることで、五感を刺激し感動体験を生み出す感覚拡張型エンターテインメント。過去2回お台場で開催され、2018年にはシンガポールでアジア最大級のカウントダウンイベントとして開催された。

シンガポールでの開催は2020年末まで3年連続開催が決定しており、サウジアラビアの建国記念日である2019年9月23日には同国での開催も予定されている。

<STAR ISLAND>はなぜここまで世界から注目を集めるイベントとなることができたのか。今年の見どころと合わせて、クリエイティブディレクターであるLeaR株式会社 小橋賢児氏と事業プロデューサーであるエイベックス・エンタテインメント株式会社 坂本茂義氏に話を聞いた。

様々な楽しみに気づいて欲しい

ー3回目の開催となる今年は会場を移し豊洲での開催となりますが、なぜ会場を移されたのでしょうか?

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坂本:

本心でいえばお台場で開催したかったのですが、2020年東京オリンピック開催ということで、開催の工期と被ってしまったんです。ロケーションを大切にする事業だったので、いくつか候補を見つけた中で豊洲がちょうど東京の摩天楼をバックにした素晴らしいロケーションだったこと、加えて豊洲市場という所にも注目し、決めさせていただきました。

ー豊洲に移動したことで、大きく変わる点はありますか?

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小橋:

細かいところではたくさんありますが、花火でいうと900m以上離れていたのが、200mという至近距離になるので、かなり迫力があると思います。

ーお台場ではできなかった企画や新しい取り組みはありますか?

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小橋:

お台場だからできたこと、またその逆もあるので、発想の転換で新しい企画を考えて行きました。例えばバーベキューシートはお台場ではなかったものですが、元々の豊洲の会場が実施している施設だったので、今回<STAR ISLAND>でも取り入れることが出来たんです。さらに近くには豊洲市場があったことで、獲れたての海鮮を入れた内容にすることが出来ました。

ーバーベキューシートはすでに完売していますよね。

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小橋:

はい、発売後すぐに売り切れてしまったんです。<STAR ISLAND>はこういった普段あまり体験できないような楽しみ方ができるシートから売れていくんですよ。
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ー他に新しい取り組みはありますか?

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小橋:

あと今回は多種多様なフードが登場します。豊洲になったことで、敷地面積的にも実現可能になったんです。良い面も課題もその場に応じて変わってくるんですよね。シンガポールやお台場でしかできなかったことがあるけど、逆に豊洲だからできることもある。

ーパフォーマンスやステージに関してはいかがですか?

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小橋:

お台場の会場は湾曲していたのでレーザーを使用するのは難しかったのですが、豊洲は直線的な会場になるので一面で見せることができ、レーザーでの演出を取り入れることができました。

ーなるほど。会場の形状が変わることで各シートの内容も変わってくると思いますが、毎回かなり充実した内容ですよね。

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小橋:

本当はもっと多種多様に増やしたいと思っていますが、今回はこのロケーションで初開催ということで自分たちも実験的な部分があり、シートを作っていくのも相当悩みました。

ーどんなシートが候補に上がっていたんですか?

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小橋:

巨大ソファを作って、みんなで座るシートなど様々な案がありました。でも色々やろうとすればするほどコスパが悪いんですよね。本当はノーマルシートで全部やったほうが利益率はいいんですが、あくまでこのイベントは“モノの見方を変える”というコンセプトなんでそこは妥協しなかったです。

今は情報社会で日々ある景色さえも蔑ろにしてしまう。ちょっと見方を変えることで、こんな楽しみ方があるということに気づいて欲しくて色々な楽しみ方を作っています。さらには、日常の中からも自分たちで様々な発見をして欲しいという願いを込めているので、本当はやらなくていいことをいっぱいやっているんです。

会場が一つになるゾクゾク感

ー花火を含めたパフォーマンスの内容も今年はさらにパワーアップしているのではないかと思いますが、今年のストーリーはどのようなものになるのでしょうか。

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坂本:

今年はよりエンターテイメント色を強くしていて、テーマは「2019: A SPACE ODYSSEY」です。『2001年の宇宙の旅』にちょっとかけていて…。
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小橋:

今回スペーストラベルをしたいと思った理由は、奇遇にも7月20日が人類が初めて月に行った日なんです。1969年にアームストロング船長が月面着陸して、世界中の人が宇宙を見た日から50年経って、同じ日にSTAR ISLANDというイベントを開催するということに運命的なものを感じました。

宇宙を旅することで多様な文化に出会い、自分とは違う概念が生まれてくる。その時に内なる創造性が生まれてくるのではないかなと思ったんです。

ー先ほどお話にあった花火やレーザー以外にも、今年パワーアップした部分はありますか?

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小橋:

今までのダンサーという枠を超えて、コンテンポラリーダンサーなどのアート方面の方々、さらには元オリンピック選手などが加わり、パフォーマーの人数もかなり増えたのでまた新しいステージを見せることができると思います。

ー実際のイベントは暗くなる前の時間からスタートされていますよね。そこにはどんな狙いがあるのでしょうか?

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小橋:

僕らは花火だけを見て欲しいのではなくて、自分たちが見るこの世界のキャンバスの美しさに気づいてほしいと思っています。だからこそ、ロケーションにはこだわりを持っていて、そこで待つのではなくて移りゆく景色を眺めてほしい。普段見ていない東京を見てほしいんです。
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小橋:

僕は海外を旅する時、必ず音楽を聴きながらサンセットを見るんです。日が沈む瞬間にはみんな泣いたり、拍手したりするんですよ。本来人間は夕日をみながら明日のことを考えていたのに、今の人間は夕日や星空を見て感動したり何かを思うことを忘れてしまっている。僕はもともと俳優を休業して、世界を旅したときに心のリハビリのようにそういうことを思い出したので、音楽聴きながら、仲間と話しながら、移り変わる自然の景色を感じて欲しいんです。

もちろん音楽と夕日だけじゃなくて、そこには美味しい食事とお酒、パフォーマーなど色々なものがあるので、この時間の使い方も自分次第です。待つのではなくて、その瞬間瞬間を楽しんでもらえればと思います。

ーその時間を楽しめるように会場では様々な用意をされていると思うんですけど、ホスピタリティの面で大切にしていることはありますか?

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小橋:

<STAR ISLAND>のコンセプトには『アミ 小さな宇宙人』という世界中でベストセラーになった本がベースにあるんです。アミという宇宙人が地球にやってきて、地球にいる少年を自分の星に連れていくんですが、その星は愛と調和で出来ていて皆が能動的に動く、見返りを求めない世界なんです。僕らはアミの星には連れて行けないけど、<STAR ISLAND>という非日常の世界にコネクトして、アミの世界を体験してもらおうと思っています。

会場内には「STAR PEOPLE」と言ってパフォーマーでもあり、いわゆるホスピタリティも担っているような人がいるんです。彼らには“パフォーマーとお客さん”ではなくて、まさにアミの星に来たような愛の循環で動いてもらっているので、それを受け取った人の中で何かが変わっていくのではないかなと思っています。
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ーそういった世界観やパフォーマンスの内容も幅広い世代を楽しませるものですが、それを可能にするために重要な要素はなんだと思いますか?

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小橋:

多様な人たちが楽しめる文脈とは、グローバルスタンダードな楽しみ方だと思うんです。例えば海外のヒットチャートはどこの国の人も皆が楽しんでいる。それはその曲にグローバルスタンダードの感覚があるからなんですよ。

なので、僕は日本だからと固執して“日本ぽさ”を演出するより、世界の色々な世代の人が、色々な楽しみ方をできることが大事だと思うんです。それは見方の部分にも関わってくるので、子供と一緒に見たい人、料理をしながら見たい人、仲間でわいわいしながら見たい人、優雅に見たい人という多様性に答えることも大事だと思っています。

その点を踏まえると、ストーリーも静かに見るところ、騒げるところ、深く入れると様々なシーンが生まれてくるんです。それには相対性が必要で、例えば美しいシーンに行く前には戦いやカオスを用意することで、美しくみえる。そういった考えを盛り込んで構成して行きます。

ー音での表現もかなり重要になってくるのかなと思うのですが。

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小橋:

そうですね、音には1番時間をかけています。
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坂本:

作家さん、選曲家さんが沢山いるんですよ。
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小橋:

今は映像の時代と言われていますが、映像はある一方通行の情報を与える状態なんですよね。しかし、音には内なる創造性があるんです。音によって自分の景色がイマジネーションのように変わる。僕はここが重要だと思っているので、音にはすごくこだわりたいんです。
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坂本:

視覚的なものは一方通行ですが、あれだけ考え抜いた音が合わさることで感動が倍増するんです。ライブで聴く音はいつもイヤホンで聴くものとは違うじゃないですか。

ーなるほど。

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坂本:

大きな空間でたくさんのスピーカーから3Dサウンドミックスで聴かせるというのは、1番大切なことかなと思いますね。その為に時間はかかりますが、あらゆる席に座って1つ1つの音とスピーカーをチェックしながら微調整しています。それだけ感動体験は圧倒的なので。
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小橋:

作り手とお客さんじゃなくて、その世界の中に一緒に入っていくような感覚を会場全体で一緒に味わうことによって、“他者と自分”ではなくて全てが1つになるんです。その感覚は意識しながら作っています。会場に来ると分かりますが、いつもと違うゾクゾク感を感じると思いますよ。
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海外で成功するために

ー2018年末にはシンガポールで初の海外開催も実現し、着実にイベントとして成長を見せていますよね。

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小橋:

毎回少しづつ成長していますが、毎回悔しさもあります。自分たちが満足したら終わってしまうので、「もっとここできたな」「こうすればよかったな」と、いつも終わってから次を見ています。

ただ世界中の人たちが参加してくれたシンガポールで、お客さんの表情や感動、終わった後の拍手を生で実感した時に、これはちゃんとグローバルに喜んでもらえる文脈にのったんだなと自覚はしました。海外ではお金をはらって花火を見る文化はあまりないんですよ。それをグローバルの人たちに届けたいと意識しながらやっていたので。

ーどうして最初はシンガポールだったんですか?

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小橋:

アジアであってアジアじゃない、あそこ自体がもともと作られた多民族な場所じゃないですか。
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坂本:

だから僕らとしてもすごくわかりやすかったので、初年度から政府の人への交渉など動き始めていたんです。

ーしかもカウントダウンという一大イベントを抑えているというは大きなことですよね。

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坂本:

それは本当にたまたまで。最初はF1と一緒に開催する話もあったんです。色々な話があって交渉も長引いてはいたのですが、すぐにできることでもないので時間をかけて交渉して、2年経ってようやく開催することができました。

ーシンガポールでの開催で大変だったことは?

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坂本:

まずは“国民性の違い”というのはありますね。結果論で言ってしまえば、グローバリズムやグローバルスタンダードとして<STAR ISLAND>を伝えることが出来たと思いますが、やはり実現するためには現地の人とのコミュニケーションが必要です。語学堪能なスタッフが多くいるわけでもなかったので、色々なミス・コミュニケーションはかなり発生していました。

今思い出すと色々なことがありましたが、その分、初回であそこまでいけたなら、さらにクオリティをあげることができるという自信はあります。相当大変でしたけど、イベントが始まってお客さんが絶叫しているところを見れた瞬間にはすごく安心しました。

ーシンガポールで開催されたことで、さらに世界中から注目されることになったと思いますが。

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坂本:

そうですね。「STAR ISLANDだったら出たい」と言って本当に一流の人たちが参加し始めてくれているのは大きいです。作品の中の一部になりたいと思ってくださっているのは、すごくありがたいことですよね。海外でいえば「シルク・ドゥ・ソレイユに出たい」というのと一緒で、<STAR ISLAND>に出たいという人が増えていくといいなと思います。
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小橋:

今回シンガポールで見てくれたサウジアラビアの人が「これはイベントじゃなくて経験だ」という言葉を残してくれたんです。そんな風に参加するスタッフや演者も「経験だから」と言って来てくれるのはすごく大きいですね。

毎回震えるし、胃に穴は開きそうだけど、こんなに毎回感覚が変わっていく経験はなかなかない。だから1つ1つ経験だと思って参加してくれることに意味があるのかなって思います。これはお客さんも含めてですけど。

ー実際に海外での展開はシンガポール以外にはどのような国で話が進んでいるのでしょうか?

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坂本:

サウジアラビアはもう許可を得ていて、9月23日の開催に向けて進行しています。他にもいくつかの国から問い合わせが来ているので、期待していただければと思います。相当な国から来ているので…。

ー日本発のイベントが海外進出して成功した例はあまりないと思うのですが、海外展開で重要となるのはどんな部分だと思いますか?

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坂本:

まずは僕らを含めて“素晴らしい体験をする・してもらう”ってことじゃないですかね。作り手もお客さんも喜んでいるもの、真摯に向き合って作って受け入れられているものというのは、なにかしらの評価をされていると思っているので。あとは営業力かなと。
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小橋:

“日本観”みたいなものを出し過ぎないことかなとは思います。だから僕らは日本の曲を打ち出そうとはしていないし、オリジナル曲も作っていますが、世界の人が楽しめる曲を作っています。

世界の人たちが同時に楽しめるレベルがあるんですよ。そのレベルにないと、海外に持っていたところで反応はもらえないと思います。先ほど話したヒットチャートのように、国感ではなく世界の人が純粋に楽しめる肌感を持つことが大事だと思うんです。その為には常に色々な国を回りながら、世界中のみんなにとって“楽しい”ということは何なのか考えなくてはいけないですね。
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坂本:

プレゼンテーションの時に切り開くきっかけとして日本の花火をアピールしたり、日本らしさを出すことはありますけど、“サービスの1つ”という感覚です。日本を押し出していくよりは、<STAR ISLAND>の世界観をアピールしていく方がいいと思うんです。
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小橋:

外国人をなめてはいけない。日本と言えば着物と歌舞伎を出せば喜ぶと思ってはダメ で、そういうものだけでは多様な人たちを同時に楽しませることはできません。グローバルとして楽しめる、その視点をもちながらやったほうがいい思います。どこの国がやっているのかわからないくらいがちょうどいい。

ただ<STAR ISLAND>にとって心臓部分である、“日本の花火を世界に持っていく”というのはすごくこだわっているポイントです。シンガポールで開催した時に現地にいる日本の人たちが「日本の花火だ!」って言ったんですよ。

ーやはり日本と海外では花火の性質は違うんですね。

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小橋:

海外の花火は派手だけどペラペラで、まるで爆竹みたいなんです。日本の花火が体の芯までドーンと来るのに対し、世界にはこれがなかったんですよね。

僕は花火工場に行ったときに、多くの職人さんの力が合わさって1つの球ができているのを見ました。そこには重さと深みがあるんです。海外の人たちにとって、この体の奥に響く感覚は体験したことのないものだと思うので、そういう部分にはこだわっていきたいです。
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STAR ISLAND 2019

【開催日程】2019年7月20日(土) ※雨天決行・荒天中止
【開催場所】TOKYO STAR ISLAND(豊洲ぐるり公園 / 東京都江東区豊洲6丁目5番先)
【開催時間】開場/16:00 開演/19:30 閉場/21:00 ※当日の演出によって時間が変動する場合があります。
【公式URL】 http://www.star-island.jp/

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この記事を作った人

WRITER

久野麻衣

DIGLE MAGAZINE 副編集長

PHOTOGRAPHER

遥南 碧

パンク、ブラック、ロックが好きな大阪出身のエモグラファー。「愛が見える写真」、「音が聞こえる写真」を撮ります。もっと色んな写真を見たいなと思ったらWEBサイトも覗いてなー!お仕事のご相談もお気軽に!

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