Spotify for Artistsとは?
Spotify for Artistsとは、Spotifyで楽曲を配信しているアーティストや制作チームが利用できる専用の楽曲・アーティスト情報管理ツールです。
Spotify for Artistsでは、アーティストプロフィールの編集や再生回数など統計データが分析できるアナリティクス、プレイリスト掲載の申請(ピッチング)などのサービスを利用することができます。ブラウザやアプリを使って簡単にアクセスすることが可能です。
楽曲リリース後のプロモーションやマーケティング活動に役立ちますので、より多くのリスナーにリーチしたい場合はぜひ登録しておきたいツールです。
本記事では、そんなSpotify for Artistsの使い方や登録方法、活用方法などを画像つきで詳しく解説します。
注意!Spotify for Artistsは楽曲を既に配信しているアーティストのみが利用可能
最初に注意すべきポイントとして、Spotify for Artistsは既に音楽配信代行サービスなどを経由して楽曲をSpotifyに配信しているアーティストのみが利用できるという前提があります。
正式に楽曲をリリースした後に、Spotify上でご自身の楽曲が配信されていることが確認できて初めてSpotify for Artistsの登録申請手続きが可能です。
楽曲リリース前の場合や、普段音楽を聴くために使用しているSpotifyアカウントだけでは登録申請をすることができないためご注意ください。
ご自身の楽曲をまだSpotifyに配信していない方は、音楽配信代行サービスを使ってまずは配信申請から行いましょう。
ポニーキャニオンが提供している「early Reflection」という音楽配信代行サービスは、無料でSpotifyをはじめとする各音楽配信プラットフォームに楽曲を配信することができます。
さらに、プロモーションに関するサポートやコンサルティングなどのサービスも行っていますので、積極的なアーティスト活動をしていこうとお考えの方は一度下記ボタンから詳細をお問い合わせしてみてはいかがでしょうか。
Spotify for Artistsでできる事
次に、Spotify for Artistsでは実際にどのようなことができるのか機能を確認していきましょう。
プロフィールの編集
Spotify for Artistsの「アーティストページ/Profile」では、以下の情報を編集することができます。
・ヘッダー画像
・プロフィール画像
・各SNSやウェブサイトへのリンク
・バイオ情報
・アーティストからのおすすめ(コンサート情報、楽曲情報、ポッドキャスト情報など)
・アーティストプレイリスト
・グッズ情報(ベータ版)
ヘッダー画像やプロフィール画像、リンクなどはご自身で変更しない限りアーティストプロフィールに固定表示されます。
ただし、「アーティストからのおすすめ/Artist Pick」は、更新から14日間が過ぎると自動的に外されてしまうため、定期的にアーティストプロフィールをチェックして設定する必要がある点に注意が必要です。
楽曲分析
Spotify for Artistsの「オーディエンス/Audience」というページでは、楽曲のストリーミング再生に関する詳細なデータを入手することができます。チェックできる項目は以下の通りです。
・リスナー数
・再生数
・フォロワー数
・オーディエンスエンゲージメント(ベータ版)
・ストリーミングの内訳(どこから再生されたか)
・リスナーの性別
・リスナーの年齢
・リスナーの地域(国、都市)
・リスナーに人気の他のアーティスト
再生回数やリスナーの属性などはグラフで可視化されるため、見やすいインターフェースとなっています。
楽曲分析をする際にチェックするべきポイントは?
数値を見る際は、単に全体の再生回数やリスナー数を見るだけでなく、それぞれの指標を組み合わせて分析していくことが重要です。
例えば、「再生回数÷リスナー数」で「一人あたりの再生回数」を知ることができますし、「保存数÷リスナー数」で「楽曲の保存率」を知ることができます。
各楽曲の詳細なデータを出していくことで、同じリスナーによって繰り返し聴かれている曲や、一人あたりの再生回数は少ないものの広い層に聴かれている曲など傾向を探り、今後のリリースに活かしていくことが可能です。
Spotifyのエディトリアルチームにピッチングできる
Spotify for Artistsの「音楽/Music」ページでは、未リリースの曲に限りSpotifyのエディトリアルチームにSpotifyプレイリストへご自身の楽曲を追加してもらうよう申請することが可能です。
プレイリストに掲載されることによって、より多くの新しいリスナーに楽曲を聴いてもらえるチャンスが高まります。
ただし、申請した全ての楽曲が採用されるというわけではなく、エディトリアルチームによって選出された楽曲やアルゴリズムによって選ばれた楽曲のみがプレイリストに追加されます。追加先のSpotifyのプレイリストには以下のような種類があります。
・アルゴリズムプレイリスト(各リスナーの好みによって自動生成されるプレイリスト)
・エディトリアルプレイリスト(音楽トレンドやデータに基づいてSpotifyのエディトリアルチームが作成したプレイリスト)
・リスナープレイリスト(Spotifyリスナーが手動で作成したプレイリスト)
既にリリースされてしまっている楽曲はピッチングの対象外となりますので、Spotifyプレイリストに掲載してもらいたい場合はなるべく早めに申請しましょう。また、提出できるのは一度のリリースにつき1曲です。
再生ページのカスマイズが可能
Spotifyには「Canvas」というループ動画形式のジャケットを再生する機能があり、Spotify for Artistsを使ってこちらのCanvasも編集することができます。Canvasは全てのSpotify for Artistsユーザーが利用可能です。
Canvasを登録するメリットとしては、再生ページで視覚的にリスナーの注意を惹きつけられる点が挙げられます。
また、楽曲がInstagramのストーリーで楽曲がシェアされるとCanvasのループ動画も再生されるため、Spotifyユーザーではないリスナーにもアピールすることが可能です。
Canvasのアップロード方法は、このあとの項目にて詳しくご説明します。
Spotify for Artistsの登録方法
続いて、Spotify for Artistsに登録申請するための具体的なステップをご紹介します。
登録前にSpotifyでご自身のアーティスト名を検索し、あらかじめ楽曲が配信されていることを確認しておきましょう。
1. まず、ブラウザからSpotify for Artistsの公式サイトにアクセスし、初めて利用する場合は画面右上の「アクセス」/「Get access」を選択します。
2. 「アーティストまたはマネージャー」/「Artist or manager」、もしくは「レーベルチームのメンバー」/「Label team member」を選択します。
3. 普段使用している通常のSpotifyアカウントのメールアドレス、もしくはユーザーネームとパスワードを入力しログインします。
4. 「続行する」を選択します。
5. Spotify for Artistsのログインで使用するSpotifyアカウントが正しいか確認画面が表示されるので、問題なければ「次へ」を選択します。変更したい場合は「アカウントを変更する」から別のSpotifyアカウントにログインし直しましょう。
6. こちらの画面では、Spotify上で配信しているアーティストページとご自身のSpotifyアカウントを連携します。検索欄にご自身のアーティスト名もしくはSpotifyアーティストURIを入力して検索しましょう。
7. アーティスト活動に関するビジネスで使用するメールアドレスを入力し、「次へ」を選択します。
8. Spotify for Artistsにアクセスするために必要な情報を入力し、「次へ」を選択します。
9. 本人確認のためにソーシャルアカウントに接続するので、「次へ」を選択します。
10. Instagram、Twitter、もしくはアーティストのウェブサイトにアクセスして「送信」を選択します。
11. Spotify for Artistsへの登録申請のリクエストが完了すると、画像のような表示に切り替わります。リクエスト後、3日以内に登録したメールアドレスへ登録完了の通知が届きます。
12. 届いたメールに記載されているURLにアクセスすると、「Spotify for Artistsへようこそ!」という画面が表示され、登録が完了します。
Spotify for Artistsを使用した活用術
こちらでは、Spotify for Artistsで利用できる機能の使い方をご紹介します。それぞれのシステムの活用方法も一緒に解説しています。
リリース前の楽曲のピッチング
まだリリース前の段階である楽曲の場合、Spotify for Artistsの管理画面からSpotifyのプレイリストに追加してもらうように登録申請をすることが可能です。
Spotifyのプレイリストエディターに楽曲をピッチングするためには、以下の手順を踏みます。
1. Spotify for Artistsにログインし、上部メニューから「音楽/Music」を選択します。
2. 「今後のリリース/Upcoming」を選択します。
3. ピッチしたいリリースの「PITCH A SONG」を選択します。
4. 楽曲を1つ選択します。
5. 楽曲のジャンル、スタイル、使用楽器、言語、曲の属性などを選択します。
6. 必須項目として自分の属する都市名(活動地域)を入力し、任意で楽曲の制作背景やプロモーションプランなどの詳細を入力します。楽曲詳細説明欄はオプションですが、Spotifyのプレイリストエディターへアピールするための重要な項目なので、ぜひ入力することをおすすめします。
7. ここまで入力した項目に誤りがないか確認画面が表示されるので、最終チェックをします。
8. 問題がなければ、画面右下の「SUBMIT」ボタンを押して申請完了です。
ピッチングした楽曲がSpotifyプレイリストに追加されると、お知らせのメールが登録メールアドレス宛に届きます。
また、楽曲がリリースされたあとにSpotify for Artistsの「音楽」>「プレイリスト」画面から、どのプレイリストに追加されたか確認することも可能です。
「Release Radar」に掲載するには?
Spotifyには「Release Rader」という毎週金曜日更新のアルゴリズムプレイリストがあり、各ユーザーの好みにマッチした新曲がまとめてレコメンドされるという仕組みになっています。
Release Raderに楽曲を掲載するには、遅くてもリリース日の7日前までにピッチング申請手続きを行いましょう。申請が受理されると、ご自身のフォロワーのRelease Raderにピッチングした楽曲が自動で追加されます。
リリースされてから28日間掲載されますので、ご自身のファン(フォロワー)に新しくリリースした楽曲を聴いてもらうためにも、ぜひリリースが決定したらSpotify for Artistsから早めにピッチング申請をすることをおすすめします。
Canvas機能で再生画面にショート動画を使用
SpotifyのCanvasとは8秒間のループ動画ジャケットのことで、登録すると楽曲の再生画面にアーティストがアップロードした動画が表示されます。CanvasもSpotify for Artistsから簡単なステップで登録することが可能です。
1. Spotify for Artistsにログインし、上部メニューから「音楽/Music」を選択します。
2. 「曲」もしくは「今後のリリース/Upcoming」からCanvasを追加したい楽曲を選択します。
3. 画面右上の「Canvasを追加/ADD CANVAS」を選択します。
4. 画面に表示された「+」の部分にファイルをドラッグ&ドロップでアップロードします。ファイルの条件は以下の通りです。
・アスペクト比が9:16であること
・縦が720px以上であること
・MP4もしくはJPEGファイルであること
・長さが3〜8秒であること
5. アップロードが完了したらプレビュー画面を確認し、「次へ/NEXT」を選択します。
6. 利用規約を確認し、「本規約に同意します」にチェックを入れ「投稿/POST」を押して完了です。1時間弱以内にSpotifyユーザーの再生画面にもCanvasが反映されるようになります。
アーティストプレイリストの作成
Spotify for Artistsでは、「アーティストプレイリスト」としてアーティストプロフィールに表示させるプレイリストを登録することができます。
ご自身の楽曲が追加されているプレイリストや、ご自身が作成したプレイリストを登録してリスナーに紹介しましょう。アーティストプレイリストを追加する手順は以下の通りです。
1. Spotify for Artistsにログインし、上部メニューから「アーティストページ/Profile」を選択します。
2. 下に少しスクロールして「アーティストプレイリスト」という項目の「+」を選択します。
3. 追加したいプレイリストを検索し、「保存する」を押して完了です。
レコメンド広告
Spotify for Artistsには「Marquee」というレコメンド広告機能があり、Spotify FreeおよびPremiumユーザーにニューリリース情報を全画面表示の広告で訴求することができます。
ユーザーが表示されたMarqueeをクリックするとリリースした楽曲のページに自動で遷移するというシステムになっており、より幅広い層のリスナーにリーチすることが可能です。
また、アーティストはMarqueeでリスナーがリリースをチェックしたかどうか、成果をSpotify for Artistsの管理画面からチェックすることができます。
Marqueeは7日間もしくは10日間で最低予算は$250と決められており、ユーザーにクリックされた場合のみ予算が使用されます。もし7日もしくは10日の間に全ての予算を使い切った場合は、キャンペーンがその時点で終了します。
今までアーティストのマーケティングツールとして使われていた有料ウェブ広告と違い、Spotifyユーザーのみにターゲットが絞られているため、リーチできる可能性が高まる点がメリットです。
Marqueeは現在、米国や英国を中心とした国外のオーディエンスをターゲットに展開されており、米国を拠点とするチームのみがベータ版のMarqueeを利用可能です。
また、利用するにあたっては以下の条件のいずれかを満たしている必要があります。
・過去28日間の再生数が15,000回以上であること
・フォロワーが2,500人以上であること
以上の条件を満たしていてMarqueeが利用できる場合は、以下の手順で設定可能です。
1. Spotify for Artistsにログインし、画面左上の「︙」を選択します。
2. 「あなたのチーム」を選択し、請求先の国を設定するチームを選択します。
3. 「請求」を選択します。
4. 「請求情報」でメールアドレスと国を追加し、完了です。Marqueeの料金のお支払いには米国にサービス拠点を置くカードが必要となりますので、ご注意ください。
管理者権限を追加する
バンドメンバーやマネージメントチームなど、複数のメンバーがいる場合はSpotify for Artistsの管理者権限を追加することでチーム全体で情報を共有できるようになります。
Spotify for Artistsに新しいメンバーを追加する手順は以下の通りです。
1. Spotify for Artistsのサイトにアクセスし、ログインします。
2. 左上の「︙」を選択します。
3. 「あなたのチーム」/「Manage Team」を選択します。
4. 「一括招待」/「INVITE」を選択します。
5. 招待したい人の名前、emailアドレス、役割、会社名を入力します。また、その人がどこまで権限を持てるのかアクセスレベルを選択しましょう。
6. 最後に「招待を送信する」/「SEND INVITE」を押して招待完了です。招待を受け取った人が、届いたメールに記載されている「ACCEPT INVITE」を選択して、SpotifyアカウントでログインするとSpotify for Artistsの管理画面を閲覧できるようになります。
まとめ
Spotify for ArtistsはSpotifyで楽曲をリリースしているアーティストやチームのみが利用できる楽曲・アーティスト情報管理専用サイト/アプリです。
アナリティクス機能やアーティスト情報編集、プレイリストピッチング申請機能などが利用でき、プロモーションやマーケティングには欠かせないツールですので、Spotifyでの楽曲の配信が決まったら登録することをおすすめします。
Spotify for Artistsの登録に必要なものは、Spotifyアカウントとビジネス用メールアドレス、本人確認のためのリンク、Spotifyで配信中のアーティスト情報です。
Spotify for Artistsに登録後は、利用できる機能をフル活用してぜひ今後の活動方針の決定に役立ててみてはいかがでしょうか。