リアルな手触りをもつqujioki & Frbの音

Review

文: vcr  編:Kou Ishimaru 

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回はqujioki & Frbをご紹介します。

生活が音と言葉になる

ラッパー・Frbと、ビートメーカーのqujiokiがダブルネームでの初シングルとしてリリースした『New Game』。

さまざまな機材や環境の進化によって、音楽を作ることはたった一人の自室の中でも完結できる作業にもなった。
しかし、この楽曲からはそれとは異なる手触りと温度を感じる。
qujiokiによるトラックはジャズの楽曲をサンプリングしたもので、レコードプレーヤーに針を落とす仕草が目に見えるような、目の前に何気ない日々の景色やだれかの存在が浮かび上がるような肉体性を持っている。
ピアノとサックス、ドラム、ベースが心地よく揺れるビートの上に乗るFrbの声には強く響く力がありながら、等身大の高揚を孕むリリックは聞く人の生活に溶け込むように馴染む体温がある。
作り手のリアルに根付くものだからこそ意味を持つHIPHOPという音楽の魅力を改めて思い出すような、そんなダブルネーム楽曲だ。

この曲が春の訪れを感じる季節にリリースされたことも嬉しく思う。
暮らしを柔らかに照らす3月の日差しの中で、コーヒーと煙草を片手に身を任せたいそんなナンバー。
きっとあなたの足取りも思わず軽くなるだろう。


qujioki

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