TuneCoreとは?
TuneCoreとは、2005年に設立されニューヨークのブルックリンに拠点を置くTuneCore,Inc.が運営する音楽流通サービスです。
日本での事業は2012年に開始し、TuneCore Japanというサービス名でチューンコアジャパン株式会社が運営しています。
TuneCoreに登録すると、オリジナル楽曲やアルバムをApple Music、Spotify、Amazon Musicといった音楽ストリーミングサービスや、TikTok、InstagramなどのSNSへ一括配信することが可能です。
TuneCoreを介して楽曲をリリースするには利用料がかかりますが、配信によって得られた収益は100%アーティストに還元されます。
TuneCoreでできる事・メリット
はじめに、TuneCoreに登録するとどのようなことができるのか、メリットを確認していきましょう。
最短2日、世界185カ国以上・55以上のプラットフォームに楽曲を配信できる
TuneCoreはアメリカを拠点に世界で展開している音楽流通サービスなので、国内から海外まで185カ国以上、55以上のプラットフォームで楽曲を配信することができます。
現状、複数のプラットフォームを配信先に選択しても追加料金はかからず、世界中のリスナーにご自身の音楽を届けることが可能です。
楽曲の収益は100%アーティストに還元
TuneCoreを通して楽曲配信をし、得られた売上は配信ストアの手数料を除いて全てアーティスト側に還元されます。
ダウンロード配信なら楽曲がダウンロードされるごとに、音楽ストリーミングサービスでの配信なら楽曲が再生されるごとに利益が発生し、配信プラットフォームや時期によって金額は変動します。
また、「Split(スプリット)」というシステムを利用すれば、楽曲制作に携わったミュージシャンやプロデューサー、エンジニア、プロモーターなど関係者にも収益を自動分配することが可能です。
楽曲権利は100%アーティストのものとなるため、原盤権をTuneCoreに譲渡する必要はありません。
「Submit(サブミット)」機能が利用できる
TuneCoreの「Submit(サブミット)」とは、配信ストア上のバナーやピックアップ欄、プレイリストにご自身でリリースした楽曲が展開・紹介されやすくなる機能のことです。
配信ストアのバナーやピックアップ欄、プレイリストに掲載されれば、ご自身の楽曲がより多くの人に再生される確率が高くなります。
「Submit(サブミット)」機能に追加料金はかからず、リリース予定日に合わせて締切日までにキャッチコピーやリリース概要、アーティスト写真などをまとめた展開資料をアップロードすることで利用可能です。
チャートインするとお知らせが来る
各配信サービスのプレイリストやランキングにご自身の楽曲がピックアップされると、TuneCore内のダッシュボードとメールにて通知が来るので、ご自身の楽曲の順位やポジションをすばやく確認することができます。
レポートで再生数などを確認できる
TuneCoreにはレポート機能があり、速報レポートはリリース後2日で確認することができます。確定レポートは配信ストアによってデータが反映される時期が異なります。
レポートでは、ストリーミング回数やダウンロード数、リスナーの国や地域などをチェック可能です。
CSVレポートとしてダウンロードすることもでき、さらに詳細な数値分析にも役立ちます。
VOCALOIDやその他音声合成ソフトにも対応
TuneCoreではVOCALOIDをはじめとする音声合成ソフトを使用した楽曲のリリースも可能です。
TuneCoreと提携しているVOCALOID(その他音声合成ソフトを含む)なら配信するにあたって特別な商用利用許可は不要で、ご自身が作った楽曲に製品のキャラクター名称を添えて配信することができます。
また、楽曲のジャケット画像に関してもご自身で制作したキャラクターの二次制作物を使用することが可能です。
リリースした楽曲のリンクをシェアできる
楽曲のリリース後は、「LinkCore(リンクコア)」という機能を使って各配信ストアの楽曲のリンクをまとめた短縮URLを生成することが可能です。
そのため、ファンやリスナーの使用している音楽配信サービスに関わらず、LinkCoreで作成したURLをSNSなどにシェアするだけで簡単にリリース告知をすることができます。
また、LinkCoreにはアナリティクス機能もあり、シェアしたリンクからページビュー数やトータルクリック数、配信ストアごとのクリック数とクリック率、地域ランキングなどの統計データを確認可能です。
これらの統計データはリスナーの使用している音楽配信サービスをチェックしたり、どこの地域でよく聴かれているか確認することで今後の活動地域を決めるのにも役立ちます。
TuneCoreが主催するオーディションに出演できるチャンスも
TuneCoreではアーティスト活動サポートの一環として定期的にオーディションを開催しており、どなたにも人気アーティストへの一歩を踏み出せるチャンスが与えられます。
オーディション特典には、テレビなどメディアへの露出やライブ出演、スポンサーからの賞金獲得などがあります。
TuneCoreのデメリット
次に、TuneCoreを利用するにあたって注意しておきたい点を確認していきましょう。
利用料がかかる
TuneCoreでアカウントを作成するのは無料ですが、実際に楽曲を配信する際は利用料がかかります。
配信する期間やリリースの種類によって利用料は異なりますので、以下の表でチェックしましょう。料金は全て税込みです。
配信期間 | 1年間 | 2年間 | 3年間 |
シングル | 1,551円 | 2,915円 | 4,169円 |
アルバム | 5,225円 | 9,416円 | 13,607円 |
シングルは1曲10分以内、アルバムは2曲以上で各曲10分以内のみ配信ができます。
楽曲が新しくリリースされて間もない期間はリスナーの耳にとまりやすいので比較的収益が得られやすく元を取ることが可能ですが、過去曲もコンスタントに再生してもらうためには継続的なアーティスト活動が必要です。
そのため、今後のリリース予定が不透明な場合や長期にわたって一定の再生数が見込めない場合は利用料金がかからないディストリビューター(音楽配信代行サービス)を利用することをおすすめします。
大手レーベル会社のポニーキャニオンが提供する「early Reflection」という音楽ディストリビューションサービスは配信するにあたって料金はかからず、アーティストのプロモーション面のサポートも充実しているのが特徴です。
審査に通過しないとリリースできない
TuneCoreではリリース登録した楽曲が全て配信されるわけではなく、登録後に審査への通過が必須となります。
審査の基準は公表されていませんが、他人の曲を許可なく勝手にサンプリングした楽曲などを提出することは避けましょう。
TuneCoreを実際に使った人からの評判は?
続いて、TuneCoreを通して実際に楽曲配信をした方による口コミをいくつかご紹介します。
TuneCoreの魅力として、「収益還元率が高い」「配信開始までの対応が早い」「LinkCoreなど便利な機能が充実している」という点を挙げている方が多く見られました。
配信料金はかかってしまうものの、早くて確実なディストリビューターを選ぶならTuneCore、という方が多いようです。
TuneCoreの始め方
では、実際にTuneCoreに登録する方法と、ご自身の楽曲を各音楽ストリーミングサービスに配信する手順をご説明します。
TuneCoreの登録方法
- TuneCore Japanの公式サイトにアクセスし、「アカウント登録」ボタンを選択します。
- アカウントの登録区分に関して「個人」もしくは「法人」にチェックを入れます。
- メールアドレスとパスワードを設定します。パスワードは確認のため2回入力する必要がございます。
- 利用規約をご確認いただき、「規約に同意」にチェックを入れて「登録する」ボタンを選択します。
- ご登録いただいたメールアドレス宛に「noreply@tunecore.co.jp」からメールアドレス認証用のメールが送信されますので、24時間以内にメールに記載されているリンクにアクセスし手続きを行ってください。
- アカウント管理者情報のご登録画面が表示されたらアカウント作成は完了です。
TuneCoreから楽曲を配信する方法
- TuneCore Japanの公式サイトにアクセスし、ログインします。
- 画面左のメニューから「リリース登録」を選択します。
- リリース種別に関して、「シングル」「アルバム」「リングトーン」のいずれかを選択します。
- アーティストを選択します。「+追加する」という項目で新規アーティストを作成することもできますし、事前に登録しておいた「登録済みアーティスト」を選択することもできます。TuneCoreと連携しているVOCALOID(その他音声合成ソフトを含む)を使用した楽曲の場合は、「VOCALOID/その他音声合成ソフト」を選択してください。
- 次に、リリース編集を行います。以下の3点を登録する必要がございます。
①ジャケット画像のアップロード
②リリース情報の編集(アルバムタイトル、ジャンル、レーベル名など)
③楽曲ファイルのアップロード
楽曲ファイルのアップロードが完了すると、視聴開始位置の設定や歌詞の登録が可能になります。
- 配信先のストアを選択します。こちらでダウンロード販売価格や配信エリア、販売開始日なども設定することができ、「設定をすべての配信ストアに反映する」を選択すると一括で設定することが可能です。もちろん配信先のストアごとに設定をすることもできます。
- アカウント情報を入力します。こちらで正しい情報を入力しないと審査に通らない可能性がございますのでご注意ください。
- ご希望の配信期間(1年間/2年間/3年間)を選択し、お支払い情報を入力します。
- 再度決済情報と注意事項を確認します。
- 配信開始希望日がサブミット可能な日程である場合、サブミット選択画面が表示されますので、「サブミットする」もしくは「サブミットしない」を選択しましょう。
- 「注意事項を確認しました」にチェックを入れて、「配信審査を依頼する」を選択し完了です。
配信審査が完了次第、ご登録のメールアドレスに審査結果が送信され、配信審査に通過すると配信手続き開始のメールが届きます。手続きが完了すると、各配信ストアで楽曲の配信が順次開始します。
TOWER CLOUDなど他のサービスとの比較
音楽配信ストアに楽曲を配信できるサービスはTuneCore以外にもあります。
以下の一覧表でTuneCoreと他サービスを比較してみて、どのサービスがご自身の活動スタイルに合っているかチェックしてみましょう。
| TuneCore Japan | TOWER CLOUD | BIG UP! | CD Baby | Ditto | LANDR |
利用料金 | ・シングル:1,551円〜 ・アルバム:5,225円〜 | 無料 | ・無料(フリープラン) ・990円〜(ベーシックプラン) | $4.99〜/シングル | $19/年〜 | ・無料 ・2,000円/年(コンプリート) ・9,500円/年(無制限) |
還元率 | 100% | 80% | 70%(ストリーミング/フリープラン) 83%(ダウンロード/フリープラン) 100%(ベーシックプラン) | 91% | 100% | 最大100% |
日本語 サポート | ◯ | ◯ | ◯ | ✕ | ✕ | ◯ |
TuneCoreをはじめとする音楽配信代行サービスにはシングルやアルバムごとに配信費用がかかるものと、年会費がかかるサブスクリプション型、無料でリリースできるものなどいくつか種類があり、利用料金がかかるサービスはその分還元率が高い傾向にあります。
そのため、配信するにあたってコストがかかるサービスは長期に渡って安定した再生数やダウンロード数が見込める場合にお得です。
無料でリリースできるサービスは、再生によって発生した収益の一部を手数料としてサービス側に分配するという形になるので、気軽にオリジナル楽曲を配信してみたいという方におすすめできます。
ただし、楽曲を配信してたくさんの人に再生してもらうためにはプロモーション活動も合わせて積極的に行っていく必要があります。
「自分で全てマネジメントできるか不安」という場合は、音楽レーベルが提供しているディストリビューションサービスを利用してみるのも一つの手です。
ポニーキャニオンが展開しているPR型ディストリビューションサービスの「early Reflection」は、無料で楽曲の配信が可能で還元率が最大80%と高い上に、各メディアへのプッシュやインタビュー記事の掲載、ライブ出演のチャンスなどアーティストへのサポートも手厚いのでおすすめです。
よくある質問
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楽曲配信で得られる収益は1再生あたりどれくらい?
楽曲の1再生あたりで得られる収益は時期によって変動し、また配信先の音楽ストリーミングサービスによっても変わるので正確な数値は断言できませんが、Apple Musicの場合「再生1回あたり平均0.01米ドル」であると公表しています。
TuneCoreの売上の振り込みは毎月以下の日に行われます。
・毎月16日〜末日に引き出し申請→申請月の翌月10日に振り込み
・毎月1日〜15日に引き出し申請→申請月の25日に振り込み
なお、10日や25日が銀行休業日の場合は、翌営業日の振り込みとなります。引き出し申請を行うには最低1,000円のアカウント残高が必要である点、振込手数料はアカウント管理者の負担となる点に注意しましょう。
まとめ
TuneCoreは楽曲をSpotifyやApple Musicなど様々な音楽配信サービスに配信するためのディストリビューションサービスです。
無料アカウント作成後、最短2日で世界185カ国以上、55以上のプラットフォームでのリリースが実現します。
TuneCoreを通して楽曲を配信するにあたってはリリースの種類や配信期間によって利用料金がかかりますが、収益は全てアーティストに還元されます。
そのため、TuneCoreはご自身に既にある程度ファンやリスナーがいて、長期間の安定した再生数が見込める場合におすすめです。
「無料で楽曲を配信したい」という場合は、early Reflectionなど初期費用0円で利用できる音楽配信代行サービスもございますので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。